「あのバカ、俺は死なないって言ったクセに―‐」

「うん」

「だから少しは勉強しろって言ったのに、」

「うん」

「死んだら意味ねぇだろ‐‐」

「・・・そうだな」

デイダラは、優しく相づちを打って、私の愚痴を受けとめてくれた。


「馬鹿、ばか、バカ、本当ばか‐―‐」


一度流れ始めた涙は簡単には止まってくれなくて、ただ量を増すだけ。





『俺は、ジャシン様に祈ってるから、いざというときはジャシン様が助けてくれるんだぜェ?』


『あー、じゃ、ついでに月魅も危険な目にあいませんようにって祈ってやらァ!!』


『ゲハハハ、俺は不死身だけどなァ』


嘘つき、嘘つき、嘘つき


ジャシン様ジャシン様って、ジャシン様は飛段を助けてくれなかったじゃない。

どうして飛段を、
あんなにジャシン様を崇拝してた飛段を、
ジャシン様は助けてくれなかったの。


『月魅に言いてぇことがあんだけどよォ』


そう言ったままなんで飛段は居なくなっちゃったの?

私、まだ何も聞いてないよ?

教えてよ、ねぇ、飛段は私に何が言いたかったの?何を伝えたかったの?



ジャシン様なんて、大嫌い。





「何で飛段は帰って来ないんだよ‐―」


普段は飛段なんて思い出さないのに、こういう時に限って頭の中には飛段しか出てこないなんて。


どうしてだなんて、本当はずっと前からわかってたクセに。

気付かないふりして逃げてたクセに。


だから私に罰が当たったの?



「私、ずっと待ってんのに、なんで飛段は帰って来ないんだよ―‐‐」


わかってる。
飛段はもう居ないってこと。

わかってる。
飛段はもう帰って来ないってこと。

わかってる、わかってる。のに‐―‐っ





「飛段は、死んだんだ」





ぶわっ‐―っと風が私とデイダラの間を吹き抜けた。


私はぐちゃぐちゃになった顔をデイダラに見られても、まだ泣き止むことは出来ず、デイダラのその言葉に、また涙が溢れ出た。


どうして、こんなに泣いてるのに、涙は尽きてくれないんだろうか。
 
 
 
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