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※ビッチ夢主ちゃん。普通にアレな単語が出てきますのでご注意。


「おはよー羽月」

「おはよー」

「なになに、お前まーた別の男と寝たのか?」

「何の話よ」


学校に友達が居ないわけじゃない。
お金はどちらかと言うと同世代の倍以上はある、と思う。

ただ、何となく心が寂しくて色んな男と夜を共にしてる私。
シてる時はそれなりに気持良いし、朝起きた時や寝る時に誰かが居るんだから特定の男である必要が無いから彼氏は作らない。
それだけ。


「相変わらずだよね」

「いいじゃん、あっちも気が楽で」

「俺も今度お相手されてぇな」

「やだ、アンタ勘違いな事してきそうだし」


自慢じゃないけど顔はそれなりに良いし、スタイルだって悪くない。
飽きたら別の男を用意する位なんてことないから、私を産んでくれた顔だけの両親にはそこだけ感謝してる。

ま、あいつら不倫してるしお互い籍だけ置いてる仮面夫婦だけど。


「羽月は最近どんな子と付き合ってんの?」

「付き合ってない」

「突き合ってはいるんだろ?」

「サイテー」


幼馴染と言うか腐れ縁の友だちはこの子たち二人。
こんな私でも適当に流して付き合ってくれるから嬉しい。

なんて、そんな事直接伝えたことは無いけど。


「何か噂でキメ学の子と歩いてたってアタシ聞いたよー?」

「あの変なやつが多いけどイケメンも可愛い子も多い学校か…お前顔だけはいいからなぁ。羨ましいぜ」

「まぁね」


最近私は一人の男を家に呼んでる。
セフレは他にも居るけど、その男だけは好意を示してくる癖に一度も抱かれたことが無い。


「でもそいつ、昨日も一緒に居たのに手出してこないんだよね」


キメ学である事は否定も肯定もせず夜から朝まで側に居てくれた男の顔を思い出す。

黒髪で、近寄りがたい雰囲気ガンガン出してて、口も悪いのに真っ直ぐな瞳で私に好きだって言ったアイツ。


「えっ、そんな男居るの?」

「俺だけは違いますアピールかよ…」

「そういう事らしいけど」


伊黒小芭内。
暇潰しによく行く喫茶店で知り合った男。
いつもマスクしてるし首には蛇を巻いてるけど、マスターと話す姿も静かに本を読んでる横顔も正直タイプだった。

たまたまマスターと二人きりで話した時に伊黒の事を聞いたらあっちも私を気になってたらしくて。


「羽月もそろそろ落ち着いたらどうだい?」

「なんのこと?」

「小芭内はね、言葉は少し尖っているところもあるけど心の優しい子だよ。きっと羽月の心も埋めてくれる」


なんてマスターの優しい声を思い出して机に突っ伏す。


「…マスターの子どもだったら私ももう少しまともな人間になれたかなぁ」

「あ、例のマスターさん?」

「そうそう。子どもでも妾でもいい。マスターの声聞いてられるなら家の柱にでもなれる」

「お前がそんな事言うなんて熱でもあんのか?」

「煩いなぁ、私だって甘えたい年頃だもん」

「はいはい」


セックス自体も好きだけど一緒にいる上でのお礼的な意味も兼ねてるから無いなら無いで別にいいんだけどさ。
どうせこんな事言っても信じてもらえないから口に出さないだけで。

だって男なんて性欲の塊でしょ。


「俺もイケメンなのに何で羽月みたいにモテねぇんかなぁー」

「そういう所じゃない?」

「言えてる」

「お前ら失礼にもほどがあるぞ!」


あはは、って笑いながら胸ポケットに入ったケータイに触れる。

さっきから鳴り止まない通知は伊黒以外の男達だろう。
アイツは学校にいる最中連絡を寄越したりはしないから。

そう考えると何だかムカついてきた。


「よし!」

「お、どうした?」

「なんかムカつくから何としてでも誘ってみるわ」

「何その使命感…」


アイツも男なんだから、強引に誘えばその気になるかもしれない。

意気込んだ私は座ったばかりの椅子から立ち上がって鞄を手に取る。


「お早いご帰宅で」

「ちょっと女磨いてくる」

「明日はちゃんと学校来なさいよ。そろそろ単位ヤバイからね」

「うん、ありがとう」


両親が家に居ない変わりにお金はたくさんある。

伊黒の為だけにって言うのが少し癪だけどやってやろうじゃない。
あの余裕そうな顔を絶対に崩してやる。

ケータイを開いてエステに予約を取り、下着屋や雑貨屋があるショッピングモールへ向かった。




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