それから私達は義勇さんの家に向かって、初めて夜を過ごした。


「聞いてもいいか」

「何がです?」


義勇さんの膝の上に乗り口付けをしながら会話を交わす。
背中を這う大きな手に安堵感を得ながらちゅ、と口付ける。


「何故男のフリをしている」

「なんてこと無い理由なんですけど、私の家計皆男で代々鬼殺隊に入隊してたんです。でも私は女だったから、使えないだの弱いだの言われてて」

「…ななしは弱くなどない」

「んっ、ありがとうございます」


首筋に口付けた義勇さんは少しだけ眉を顰めて私の話を遮る。
義勇さんの事だから本心なのだろうけど、やっぱり私は兄達と比べるとまだまだだ。


「兄達に勝ちたかった。私は生きて、超えたかった。女を捨てたとしても」


本当は長い髪を切りたくはなかった。
女だって捨てたくもなかった。
でもそんな私を義勇さんが救い上げてくれた。


「義勇さん」

「なんだ」

「私、これからも鬼殺隊では男として過ごしていきます。でも、貴方の前では本当の私でいてもいいですか?」


私より可愛くて女性らしい人は沢山いるけど、思いは誰にも負けないつもりだから。
そう心の中で呟いて目の前の義勇さんにしがみつく。


「そうでなくては困る」

「ありがとう、ございます」

「女のななしは俺だけの物だ」


他の誰にも渡したりはしない、と布団へ身体を沈められる。


「好きだ」


そう言って深い口付けを交わしてくれる。
ふとお風呂で見た義勇さんの身体を思い出して、恐る恐る指で胸板をなぞった。

私は義勇さんにこれから抱かれるんだと思うとお腹の辺りがきゅんとする。


「ん、っ」

「…っは、煽るな」

「だって、触り、たい…」


義勇さんの全て、私のものなんだって感じさせて欲しい。
私の全てを差し出すから、ねぇ。


「義勇さんっ、たくさん…溺れちゃうくらい愛してっ」

「言われなくても」


朝まで私達は交わり続けた。
初めてだとか、恥ずかしいだとかそんなの関係ない。

自分の身体に義勇さんの印が咲く度に心は満たされた。


「っ、す…きっ…すきっ」

「ん…可愛い」


義勇さんに愛されれば愛されるほど、強くなってみせるから。
だから、たくさん甘やかして。
私の全てを知るのは、義勇さんだけだから。






おわり。

灰チャン様へ捧げます。秘密の続きというか、馴れ初めでした!
余り男感は出せなかった気がするけどやはり秘密の冨岡さんは一番ゲロ甘になる。笑
お気に召して頂けたら嬉しいです!
リクエストありがとうございました♪