炭治郎と話したり鍛錬をしていたり、少しだけ仮眠を取ったりしていたらあっという間にななしの仕事が終わる時間になった。


「あっ、そろそろななしさんのお迎えに行く時間ですか?」

「あぁ」

「分かりました。鍛錬付き合ってくれてありがとうございます!俺もななしさんに会いたいのでついて行ってもいいですか?」

 
ななしは隊員によく懐かれているなと更に実感しながら炭治郎に頷いた。


「義勇さんはいつ祝言を上げる予定なんですか?」

「どうだろうな」

「綺麗でしょうね、ななしさんの花嫁姿!本当にお似合いのお二人です!いつか俺も禰豆子の花嫁姿を見る事になるんだろうなぁ…」


突如涙を流し始める炭治郎に驚きながらななしの白無垢姿を思い浮かべる。
炭治郎の言う通り間違いなく綺麗だと思う。

そのまま炭治郎は妹の事を話し続け、俺がそれに時々相槌をうつ。
ななしもそうだが炭治郎も良く話す。


「あっ、義勇くーん!炭治郎くーん!」

「ななしさん、こんにちは!」

「待たせたか」


蝶屋敷に着いた頃、門の前でななしが立って待っていた。その姿に俺と炭治郎が駆け寄るとこちらに気付いたななしは元気よく手を振って出迎えてくれる。

ふとその笑顔に身体が勝手に動いた。


「きゃっ!」


軽い身体を横抱きに持ち上げ炭治郎の前にも関わらず頬へ口付けた。
ななしの姿を見て花嫁衣装を着た所が見たい、ただその気持ちだけで身体が動く。


「わっわっ、すみません!」

「ななし、祝言を挙げるか」

「え!?ちょっ、義勇くん!話しについて行けないんだけど…とりあえずその前に下ろしてくれるかな…?」


炭治郎君の前だし、と言ったななしに仕方なく下ろしてやる。
いつまで経っても恥ずかしがり屋だなと思うと自分の口角が持ち上がった気がした。


「炭治郎と話していた。ななしの花嫁衣装はさぞ美しいだろうと」

「そ、そんな…嬉しいけど、義勇くん忙しいしいいんだよ?」

「いや」

「いいえ!やるべきです!絶対に!」


そんな物は関係無いと言おうとした俺を押し退け炭治郎がななしに詰め寄った。
何故当事者じゃない炭治郎がとも思うだろうがそこは炭治郎だからで済ませようと思う。


「俺、楽しみにしてます!お二人の晴れ姿!」

「炭治郎くん…えへへ、ありがとう。嬉しいなぁ」

「……俺も見たい。ななしの花嫁姿」

「私も義勇くんの礼装見たい!」

「それじゃ、俺はそろそろお暇します!善逸のところに寄ってから任務に向かおうと思うので」

「あっ、うん!またね!」

「あぁ」


空気を読んだのか帰ると告げた炭治郎が手を振りながら去っていくのを見送る。
そろそろ俺達も帰らなければと空を見上げた。
それに気付いたのかななしも俺の手を取ってこちらを見てくる。


「帰るか」

「うん!」

「…ななし」

「何?義勇くん」

「近い内にお館様へ祝言を挙げると報告しに行こう」

「っ、うん!!」


きっとお館様も喜んで下さるだろう。
絡めた指に力を込めるななしに誓いを立てるように口付ける。


「愛している」

「私も、愛してるよ」


その笑顔をいつまでも俺が守ろう。



おわり。

アスパラ様、お待たせ致しました!いちゃ甘…になってるでしょうか(ブルブル)
夢主ちゃんに義勇さん、ではなく義勇くん、呼びにさせたのは趣味です!!すみません!
リクエスト頂いてから時間が経ってしまい申し訳ありません。
一萬打のお祝い、リクエストありがとうございました!