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※ちょっと病んでるしのぶちゃん。同性愛入ります。
「美央ちゃん、ご飯がついてますよ」
「わっ、ありがとー!しのぶ」
あぁ、今日も私の美央ちゃんが可愛い。
口いっぱいにおにぎりを頬張ってる姿の何と可憐な事でしょうか。
うっとりとその姿を脳裏に刻んでいると、後ろから足音が聞こえた。
この足音があの人だと嫌でも分かってしまうんです。
だって、私の可愛い美央ちゃんが頬を染めて見る人なんか一人に決まっているから。
「よう!美央に胡蝶!」
「宇髄先生…こ、こんにちは!」
「こんにちは、宇髄先生」
「今日もド派手に仲良しだな、お前ら二人は!」
やっぱりと言うかなんと言いますか。
美央ちゃんの憧れ、宇髄先生。
彼女が宇髄先生を見る目はとても可愛らしいですが、私にとっては非常に気に食わない。
だってその綺麗で可愛い瞳は宇髄先生だけに向けられているのだから。
「相変わらずいい食べっぷりじゃねぇか。お前見てると清々しいぜ」
「あわ…」
「余り美央ちゃんに触れるとセクハラで訴えられますよ、宇髄先生」
「おっとそれはやべぇな!PTAに目つけられんのは冨岡だけで十分だろ」
「あはは」
またな、と言って美央ちゃんの頭を撫でて宇髄先生はやっと立ち去ってくれた。
彼と話せて嬉しそうにまた食事を開始する彼女を私が見守るという光景が開始されたのはいいのだけど、私の顔は少し不満げ。
「美央ちゃん」
「なにー?」
「…ご飯、美味しいですね」
「うん!しのぶと一緒だからだね!」
今にも溢れそうなドス黒い何かをぎりぎり押し留めて美央ちゃんに笑いかけた。
こんな気持ちは彼女に気付かせてはいけない。
優しい美央ちゃんは私に気を使って、このような笑顔をもう見せてくれなくなるかもしれないから。
私が男だったら、何度そう思ったことか。
そうすればこの可愛らしい頬や私を呼ぶ声を全て合法的に手に入れる事だって出来たかも知れないのに。
「ふぅー!ご馳走様でした!相変わらずしのぶのお弁当は美味しいね!」
「それは良かったです」
あぁ、欲しい。
彼女のすべてが欲しい。
そう思いながら、今日も私は仲のいい女友達を続ける。
でもそんな日常の終わりは意外とすぐにやってきた。
私がこんなにも頑張ってきたというのに。
「美央は派手に可愛いな」
「そ、そんな!宇髄先生に言われると、照れます」
たまたま職員室に用事があって、美央ちゃんから離れていたらいつの間にか教室に来ていた宇髄先生が彼女の髪の毛を遊ぶ様に触れている。
前に言ったのに、どうして分からないのかしら。
考えるより先に私は行動に移してしまった。
「美央ちゃん」
「あっ、しのぶお帰り!」
「よう、胡蝶」
顔を染めて嬉しそうに私に微笑んでる彼女はとても可愛いけど、もう我慢する必要を感じなくなってしまいました。
楽しげな表情を浮かべて私に声をかける宇髄先生を無視して美央ちゃんの柔らかい唇に私のをくっつけた。
「ん、え…っ」
「宇髄先生、美央ちゃんに手を出さないでください。彼女は渡しませんよ」
「し、しのぶ!?」
「おいおい、こりゃまた派手に宣戦布告してきたじゃねぇか胡蝶」
優しく美央ちゃんの柔らかい身体を抱き寄せて宇髄先生を睨めばさっきと変わらないあの笑顔。
とても腹が立ちます。
「貴方にはお嫁さんが三人も居ますよね。それなのに私の可愛い美央ちゃんを誘惑しないでいただけませんか?」
にっこり、いつもの笑顔を貼り付けながら彼女にとって残酷な言葉を突き付ける。
渡したくないのです、どうしても。美央ちゃんだけは、譲れない。
唖然と私を見る彼女の頬を人差し指でゆっくり撫で上げる。
「とんでもない奴に好かれたな、お前も」
「え!?あの、状況が全く…のみ、こめなく…て」
「まぁゆっくり話し合うといいさ。だが美央、お前がその気なら俺は嫁が4人に増えたっていいんだぜ」
私に挑発的な視線を寄こした宇髄先生はひらりと手を振って教室を出ていった。
さて、これからどうして行きましょう。
ゆっくりゆっくり毒を染み渡らせるよう私に依存させていくのもいいかもしれない。
そんな事を思いながら、未だに状況を呑み込めていない美央ちゃんを深く抱きしめた。
先生の目の前でキス
初めての胡蝶さん。笑
おわり
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