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※夢主ちゃん喫煙しておりますが、未成年の喫煙は犯罪であり成人であったとしても喫煙を推奨するものではありません。
あくまで物語の一つとしてお読みください。
青空の下でのんびり煙を揺らす。
私の今いる所から下で生徒が授業を受けている声やら体育の授業中なのか増えの音やら色々聞こえてくる。
「だる…」
私はこういう熱いカンジが嫌いだ。
どうでもいい奴とは話したくもないし、絡みたくもない。
何でそんな私が高校に入ったかさえもう既によく分かんないでいる。
授業は気が向かない限り行かないし、雨降っている時に机で寝る程度のものとしか考えていない。
屋上が私にとっての一番の憩いの場なのだが、最近はよく邪魔者がどういう訳か乱入してくる。
きっとそろそろだ。
「日向ぼっこォ!!」
「また来たのかよ嘴平」
「よう口悪女!」
「うっせー」
こいつ。嘴平伊之助は猪の被り物して上半身裸のアホだ。
無駄にでかい音立てて扉開いたかと思えばあたしが居る貯水タンクの上にひとっ飛びで登ってくる。
こいつの体まじでどうなってんの。人じゃなくない?
「ぶわっ!臭え!!」
「嫌いなら来んなよ」
「ここ全て俺様のナワバリだから文句言われる筋合いはねぇ!」
「うるさっ」
ガハハってどこのガキ大将だよ、なんてツッコミはとりあえず置いといた私大人。
まぁ嘴平は後輩に当たるし、出来る限り煙はかけないように少しだけ体をずらしてあげた。
「……」
「何?興味あるの、煙草」
「お前いつも吸ってるからうめーのかなって思った。寄越せ!」
「はぁ!?やる訳ねーだろ!私のだよ!あんたの猪の被り物燃えるから近寄んな!」
「じゃあ脱げばいいんだな!」
「は?」
ガポッと音がしてみて、嘴平の方に思わず視線を向けてしまった。
今までこいつが外した事はなかったし少し興味はあった。あった、けど
「え、何これそんなのあり?」
「あん?」
いやいやいや、めちゃくちゃ美人かよ。
大きい目に長いまつ毛。羨ましすぎてこっちがあん?だわ!
「ほら、寄越せ!」
「わっ!馬鹿!」
「ぶっ」
身を乗り出して私のタバコを奪おうとした嘴平がバランスを崩した瞬間唇に何か触れた。
加えて私は組み敷かれてるような体制だし、目の前の嘴平は真顔でこっちを見てるし、いや何なのこれ。
私の初めてのキスなんだけど。
「苦ぇ。けどほわほわ…する」
「は?」
「おい!もう一回させろ!口悪女!お前と口が当たったらほわほわするんじゃ!」
「い、意味分かんない!そういうのは自分の女にしなさいよ」
「じゃあお前は女だからいいんだな」
「ちげーよ!」
押し倒されたまま問答を繰り返してると右手にチリっとした感覚がした。
多分タバコの火種に手が当たったんだ。
そう思った瞬間嘴平が勢い良く私の手を引っ張ってガン見してる。
いや、だからさっきから何…整った顔頼むから近寄らせないで。
「おい、口悪女」
「何だよ!」
「お前名前なんて言うんだ」
「はぁ?」
「名前だよ、名前!」
「美央…だけど」
軽く火傷した手を握り締めて迫られた私は思わずイケメンの圧力に負けて名前を名乗った。
嘴平は何度かぶつぶつ私の名前を間違えたり、正解したりと繰り返してる。
意味が分からないと思いながら火傷をしていない方の手で嘴平の体を押しのけようとした瞬間、また綺麗瞳と目があった。
「よーっし!お前は今日から俺の女だ!美央!分かったか!」
「意味分かんねーよ!」
「女を傷物にしたら男は責任を取らなきゃ駄目だって権八郎が言ってた!だからお前は今日から俺の女だ!」
「誰だよ権八郎って!」
そのまま怒鳴り合ってるとお互い疲れたのか息を切らしながら睨み合った。
傷物って、別に嘴平に何かされた訳でもないし。
好きでもない女を彼女にするなんてこいつ本当に意味が分からない。
「それに、お前と居るとくせーけどほわほわすんだよ!」
「くせーは余計だわ!って言うかそのほわほわって何だよ…私は気にしてないから、責任取ってやるのは本当に自分が好きな奴にしなよ」
「じゃあお前が好き?だ!」
「何でそうなんの?」
「一緒に居てーなって思える女は美央だけだからな!」
大声でこいつは何を言ってるの。
何で私は顔が熱いの。
「分かったか!ブハハハ!」
「ほんと、どうかしてるわ」
それから嘴平は毎日私の所に来て付き合えと強請った。
授業をサボってばかりここに居るからか権八郎とか言う奴や、紋逸とか言うやつが迎えに来た時紹介された。
それを何だか満更でもない私が一番どうかしてるのかもしれない。
授業中に屋上でキス
おわり
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