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あれからお風呂をお借りした後静かになった部屋で就寝し、太陽が出始めた頃私はふと目が覚めた。
何故だか嫌な予感がする。

体の疲れは取れたはずなのに心が重いのは何故だろうか。近場に寝ているはずのかー君を探すといつの間に出て行ったのか、座していた座布団は冷たくなっている。


「…とりあえず顔を洗ってこよう」


誰も起きていない時間だろうと音も無く布団を畳んで洗面所へ向かった。
顔を洗い目がしっかりと冴えた所で鍛錬にでもしに行こうかと部屋へ戻って隊服へ着替える。

全員が目を覚ます前に帰れば少し身体を清めることも出来るはずだ。
鏡台に向かって髪の毛を纏め、冨岡さんから貰った簪を挿し音を建てないよう外へ出る。


「さて、」

「月陽、伝令ダ」

「おはようかー君。凄く嫌な予感がするんだけど何?」

「鬼ガ近クニ居ル模様。冨岡ハ休マセ一人デ鬼ヲ狩レ」

「…2泊確定じゃない」


嫌な予感がすると思った。
しかし任務となれば私情など挟んでもいられないので諦める事にする。
私一人で事足りる鬼であればそんなに手間も時間も掛からないはずだから、きっと今夜辺りに決着をつければなんてことは無いだろう。

鍛錬するつもりだったけど今回は諦めて付近の探索をしようと目的を変更して近場を散歩する事にした。
朝餉までにここ一帯の探索を終わらせ、ご飯を食べたら今度は街を調べよう。

冨岡さんにはこの事は伝わっているのかな。
そんな事を考えながら鬼が隠れられそうなところを探す。
ちりん、と簪がなり何かの気配を感じて日輪刀に手を掛け後ろを振り向く。


「どなたです?」

「ひ!す、すみません…」


振り向いた先に居たのは初老の男性で、いつの間に私の近くへ来ていたのか分からなかった。
気配で鬼では無い事は確かだし、その男性がいる所は日向。とりあえず危険は無いと察して日輪刀から手を離しおどおどする男性との距離をそのままに尋ねる。


「何か御用ですか」

「…あ、あの、鬼狩り様でいらっしゃいますでしょうか」

「そうです、が」

「あぁ、良かった!助けて欲しいのです!」

「わっ!」


私が鬼殺隊である事を肯定した瞬間目を輝かせ走り寄ってきた男性を躱してしまい、後ろの木へ激突してしまった。
どんな勢いで私に向かってきてるんだと若干引きつつ木にぶつかってしまった男性を気に掛ける。


「大丈夫ですか?」

「す、すんません…つい興奮してしまって」

「それで、私に助けて欲しいとはどういう事でしょうか。よろしければ訳をお聞かせください」


たいした傷もなさそうに起き上がった男性に手当の心配はなさそうだったので、頭についた葉を払ってやりながら事情を聞いた。




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