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「うーん、冨岡さんそういえば任務帰りだったよね」



月陽は自室を出た後、冨岡の私室へ向かおうとした足を止めた。

炊事洗濯は任せてくれと言ったので、今宵の夕飯は何がいいか聞こうとしたのだがどうしたものかとその場で考え始める。



「とりあえず食材くらいあるのか見てもいいよね」




てしてしと台所に向かって歩く。
富岡邸は一人で住むには少し大きいが、屋敷と言うほどの広さでもない。
分かりやすい構造もしているし、冨岡にわざわざ聞きに行かなくても済むので月陽にとってこの上なく助かっていた。

調理器具や食器を確認しながら月陽はふと行動を止めた。



「そ、そう言えば冨岡さんはお付き合いしてる人居るのかな。冨岡さん無口で何考えてるか分からないときあるけどお顔はとても素敵だし、強いし心惹かれる女性は居るかもしれない」



だとしたら大変だ、と月陽は台所でおろおろと右往左往し始める。
月陽からしてみても誤解を生んでしまうというのは心苦しく、やはり出て行くしかないかと頭を抱え始めた所に襖が開く音がした。



「……何している」

「あぁっ!冨岡さん!ちょうどいい所に!」



心底不審そうに顔半分を出した冨岡が声を掛ければ月陽は小走りで駆け寄り半々羽織の袖を握り詰め寄った。



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