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「よう、お前も来たのか!」

「こんにちは、宇髄様!」


柱合会議に義勇さんと参加した私は先に来ていた宇髄様にわしゃわしゃと頭を撫でられた。

髪の毛がボサボサになったけど、派手になったなと本人は満足そうなのでとりあえず放ったらかしておいたら義勇さんがそっと直してくれる。


「おうおうお熱いじゃねぇか」

「ありがとうございます、義勇さん」

「あぁ」

「シカトか?」


徐々に集まってくる柱の面子にやはり圧巻だなと思いつつ、後ろへ控える。
一応私も呼ばれたけど柱ではないから皆さんの列からは外れさせてもらった。


「無一郎の晴れ姿…!」


未だに姿を現さない無一郎はきっとお館様と一緒に来るのだろうかとそわそわしてしまう身体を抑える。
前方では柱の人達がお館様へのご挨拶じゃんけんをしていたのでそれを見ながら心を落ち着けた。

相変わらず和気藹々とした雰囲気だ。
義勇さんは一人蚊帳の外でその様子を見守っている。


「義勇さん、義勇さん」

「何だ」

「義勇さんはお館様のご挨拶じゃんけん参加されないんですか?」


一応小声で義勇さんに話し掛けるとしっかり返事が返ってきた。
折角なら参加すればいいのにと思い声を掛けたけど我関せずな様子にちょっとだけ苦笑が漏れる。


「別に俺は」

「だってあの小芭内さんも参加してますし、義勇さんもいいじゃないですか」

「やりたい者がやればいい」

「義勇さんはやりたくないと?」

「……そういう訳では」


こそこそ話しながらも徐々にじゃんけんをしている人数が減っている柱達を眺める。
義勇さんもお館様はとても尊敬しているし、嫌ではないと言うなら尚更参加すればいいのにと思う。


「おい、月陽」

「あ、小芭内さん負けちゃったんですか」

「煩い。そろそろお館様もいらっしゃる、こそこそいちゃつくのをやめろ」

「いちゃついてませーん!」


じゃんけんで負けたらしい小芭内さんが私の頭を軽くペチリと叩く。
その様子にむっとした義勇さんが私の頭を撫でてくれる。

一体何なんだろうかと思いながらも愛する義勇さんと、兄のように慕う小芭内さんに構われて何だかちょっと嬉しくなってしまう。


「仲がいいな!」

「あ、煉獄様。じゃんけんは負けてしまわれたのですか?」

「うむ!負けてしまった!」

「だからお前達もうすぐお館様が来るから静まれと言った俺の言葉は聞こえなかったのか。煉獄は声をもう少し抑えて喋れ。喧しくて敵わん」

「すまないな!伊黒!」


少しずつじゃんけんに負けた人達が私達を囲み始めた事に驚きつつも、小芭内さんと煉獄様のやり取りにこっそり吹き出す。
本当に個性の強い方々だと思う。


「よーっし!月陽ちゃん、見ててね!私がビシッとズバーンとお館様にご挨拶する姿!」

「蜜璃さん応援してますよ」

「む!甘露寺が勝ったのか!」

「……甘露寺、慎重にな」


そろそろ本当にお館様が来そうだと思った柱の方々はきれいに横一列に並び、緊張で固まり始める蜜璃さんを私が後ろで見つめる形になる。
頭は下げているけど、きっと皆何となく察しているんだろうなぁなんて思うとやっぱり笑ってしまいそうになった。

あの不死川様も不安そうな顔で蜜璃さんを見ていたから余計だ。


「待たせたね、皆。今日は伝令通り皆にいい報告がある」

「お、お館様!」

「あぁ、どうしたんだい?蜜璃」

「ほっ…本日はお日柄も良く!お館様におかれましてもご壮健のようで何よりでごじゃっ…ぁっ!」

「…………ふふ。ありがとう蜜璃。君達も元気そうで何よりだ」


蜜璃さん、緊張し過ぎて噛んでしまった。
後ろから見ているから分かるけど、何人かの人達笑い堪えてますね。

小芭内さんは笑わずにそっと蜜璃さんの背中を撫でていた。
蜜璃さんは蜜璃さんで私からは見えないけれどきっと半泣きなんだろうと思う。
でもお館様は蜜璃さんらしいと微笑まれているし、大丈夫ですよ!ときっと気づいては貰えないけど心の中で鼓舞しておいた。



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