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藤の家へ着き、未だに眠る月陽とあえて同室にした。勿論冨岡に他意はなく、怪我の様子と彼女が起きた時に話せる様にである。

まだ明け方なのに藤の家は二人を温かく迎え布団を2枚敷いてもらった。
起きた時の為にと握り飯を貰い、少し離れた所でまだ目の覚めない月陽をちらりと見る。


(あの技はそんなに体力を消費するものなのか)


村へと向かった雑魚を倒していた冨岡は女鬼との戦闘を一部始終見ていた訳ではないが、そこに辿り着くまでの彼女を見ている。
鬼殺隊としてはあまり良くない事だが生理的に今回の敵は相性が悪かったんだろうと簡単に予想がついた。

女という生き物は本当に虫の類が苦手らしい。
自分の姉も驚いたりしていた記憶がある。
そして、彼女の生き方についても感心する所が冨岡にはあった。


「生きて人々を守る、か…」


家の中に入った時聞こえたのだ。
まだたった2日しか居ないが普段の彼女からは想像もつかないような怒号が。
自分には無い考えだ、と冨岡は思う。
冨岡は死にたがりでも無いが、心から本当に自分が生きたいと思っているのだと胸を張って言えはしない所である。

友や己の姉に託された想いは必ず自分が紡いでいく。
そう決めて、錆兎の言った言葉も何とか飲み込もうと足掻いている最中だ。

寝息を立てる月陽に近寄り柔らかい髪の毛を1束掬い上げる。
鬼との戦闘で切れてしまったのか、そこだけ極端に短くなってしまっていた。


「お前も人の為に命を使うのか」


生きろと言われた、救えと言われた。
それを糧に生きている月陽という少女は、いつか自分のための人生を歩むことが出来る日が来るのか分からない。
その前にその命を散らしてしまうかもしれない現状でもある。

柱候補と言われるだけの実力は兼ね備えているが、違和感を除けばただの少女だ。
そんな事はどの隊士にも当てはまるのだろうが。



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