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鬼の気配がするもう一つの場所へ辿り着いたら、信じられない物を見つけた。
一際太い蔓の中に鬼が閉じ込められているのだ。
「共食い…と言うより養分を吸われてる?」
閉じ込められている鬼は早く殺してくれと呟いて、生気のない顔色はやつれている。
私は刀を構えてその鬼へ近付き話しかけてみた。返答はあの様子じゃ望めないかも知れないが殺してくれと頼んできた以上もしかしたら今回の鬼について話してくれるかもしれない。
「あなた、楽になりたいのなら私の問に答えなさい」
「殺せ…殺してくれぇ…」
「これは血鬼術?」
「あいつは…俺を裏切った…守ってくれると言ったのに…くそぉ…ぐ、ぞ…オオオエエェ!!!」
「ひー!!」
私達に気付いていないのか、もう既に答えられるような精神状態にないのかぶつぶつと恨みつらみを呟いていると突如何かを吐瀉した。
余りの気持ち悪さに背筋が寒くなった私はそっと冨岡さんの側に避難する。
そんな事も何も気にしない冨岡さんはその吐瀉物に近寄ると目にも止まらぬ速度で一太刀入れた。
ちょっと刀でも触りたくないのに流石は水柱様だ。
「な、何か入っていましたか?」
「種のような物が出てきた」
「えぇ、何ですかそれ更に気持ち悪い」
気持ち的にはもう一歩下がりたいのだが、おそらくそういう訳にはいかない雰囲気に忍び足で近寄ってみる。
冨岡さんが種と言ったそれは黒々としてなんと言うか気持ち悪い以外の言葉が出て来ない。
もう本当にとりあえず気持ち悪い。
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