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ここに居ると妙に違和感を感じる。
そこら辺に蔓延る太い蔦が廃村となって時間が長い事を表しているのか、だとしても余りにここは廃れ過ぎていた。

それは冨岡さんも感じているのか、家の柱に強く張り付いた蔦を眺めている。


「ここ、何だか変ですよね。鬼が固まって同じ集落にいると言うのもおかしいですし」

「そうだな」

「かと言って私達を取って食おうと争奪戦を始める様子もない」


鬼は基本群れをなさない。
仮に同じ場所へたまたま居たとしても、獲物の取り合いになったりする所を必ずと目にしている。

もしかしたらここに十二鬼月でも居るのだろうか。


「お前の刃はなぜ白いんだ」

「え、うーん…たしかに霞の呼吸じゃないですもんね」

「気にした事がなかったのか」

「えぇ、まぁ」


突然投げ掛けられた冨岡さんの質問に頷いていたらすごく呆れた視線を背中に感じた。
そんな事言われても、技も撃てるし特に困った事がないのだ。


「だって、私には師も同じ呼吸の人も居ないから比べようが無いんです」

「なら刀鍛冶にお前の日輪刀を打ってもらえばいい」

「…そう、ですね。帰ったらお願いしてみようと思います」


冨岡さんが言う事は最もだし、今までも他の人には言われてきた。
でも、父さんと母さんから貰ったこの刀を手放せと言われているようでどうしても気が乗らない。

そんな私の心の声が分かるのか、後ろから溜息が聞こえた気がした。


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