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探索する事数十分。
痕跡はあるが、肝心の鬼はまだ姿を現していない。

私は刀に手を置き、瞳を閉じた。



「月の呼吸 壱の型、睦月」



睦月は空間把握型の呼吸だ。
刀を通して一つの村くらいなら空間を把握できる。



「見えた。冨岡さん、北に1南に2西に1です」

「分かった」

「では私は南に」

「分かった」



手分けして探そうと脚を踏み出したら冨岡さんもついてきた。
内心ちょっと驚いたけど実力を見せろと言っていたのを忘れてた。一人で先走ってしまったようで少し恥ずかしい。

私達は一件の廃屋で足を止め無言で視線を合わせる。
この中に鬼がいる。刀に触れ睦月を静かに発動させ、奥の部屋に隠れている鬼を見つけた。
あちらも私達に気付いているようだ。



「冨岡さん」

「お前の好きなようにやれ」

「分かりました」



襖越しに鬼のいる部屋へ近づき蹴り破ると入ってすぐ右側に気配を感じる。
飛び掛る準備が出来ていたのだろうが私だってすでに頸を切る準備は整っているんだ。



「死ねェェェ

「月の呼吸伍ノ型…皐月!」



鞘に収めていた刀を切り上げ鬼の頸を跳ねる。
淡い光が刀身を纏い切り口からも残った光が消えていく鬼を包み込んだ。

灰のように消えて行く姿を確認し、後ろで控えていた冨岡さんに視線を投げ掛ければ次に行くと言わんばかりに背を向けていた。

残りの鬼はあと3体。



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