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現地へ向かう途中ある程度頭の中でまとめてあった聞きたいことは粗方聞けた所で、私は腰に下げた日輪刀を冨岡さんに見せた。



「…これはお前のか」

「いえ、父のです」



刀身が白ということもあってか、冨岡さんは少々眉間に力を入れている。
そりゃそうだろう。私だって白の刀身は霞の呼吸らしいと聞いたし。



「何故作らない」

「いえ、父から頂いた物なので」

「手放したくないと言うことか」

「はい」



二言質問した後最後にもう一度私の日輪刀を眺めると鞘に戻して返却された。
すると今まで歩調を(主に私が)合わせて歩いていたのだが、冨岡さんは更に早足になり歩を進め始めた。
はっや。

私は急いで冨岡さんの後ろを追い、突如早足になった理由を無言で考える。
と言うより、一つしかないと思うが。



「無いものは仕方がない。まずはお前の実力をもう一度見せてみろ」

「はっ、はい!」

「日輪刀の話はそれからだ」



そう言った冨岡さんのもう少し先には鬼が潜んでいるという廃村がある。
今日はこのまま現地に入って討伐の任に当たることになるんだろう。

いざ見られているとなると少しばかり緊張する。
ふぅ、とひと呼吸ついて沈み掛けてきた太陽を見上げた。



「ここの鬼は何故か群れて活動しているという」

「おや、珍しいですね」



こくり、と頷いた冨岡さんにもうこれ以上会話はないと判断した私は静かに日輪刀をいつでも抜けるよう右手を添えた。




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