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そろそろ食事を終えたかなと今に顔を出したら冨岡さんが、浸け置きしておいた私の食器まで洗ってくれていた。
「あーっ!冨岡さん!困ります冨岡さん!あぁぁあー!!」
「自分の事くらい自分で出来る」
「そ、そうじゃなくて!今の私は継子ではないものの身を置かせて頂いてるのですから、それくらいやらせてくださいって昨日!」
「飯を作ってくれるだけでいい」
「しかし…」
「いつも食事は外だった」
「え、はい」
キュ、と音を立てて蛇口を捻るとそっぽ向きながら突然話し出した冨岡さんを見つめる。
ひかしそれきり言葉が出てこない。
これは、察せと?
「…今はお前が作ってくれている。それでいい」
「冨岡さん…うっ、優しい…」
「支度は終えてあるか」
「はい」
「ならもう出るぞ」
手がびちょびちょのままの冨岡さんに手ぬぐいを渡してあげるとそのまま手を拭いて歩き出した。
何だもう足音と言い冨岡さん可愛い。とか思いながら手ぬぐいをしまって襖の入り口に置いておいた荷物を手に取ってその後ろ姿を追う。
短い時間だが冨岡さんを観察していると可愛い部分が見えてきて少し楽しい。
しかしこれからは鬼との戦いが待っているし、気を引き締めないといけないな。
腰に差した日輪刀をそっと撫でて冨岡さんの家を出た。
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