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「お前が強くなる為の質疑応答は許可している」
今度は私が無言になる番だった。
冨岡さんは私の心でも読んでいるのだろうか。しかしその言葉は私にとってとても有り難い。
言いたいことは言い終わったと、食事が用意された机の前へてちてち歩いていく冨岡さん。
「お気遣いありがとうございます。では、任務への道中、お聞きしたい事がいくつかあるのでよろしくお願いします。食器等は食事が終わり次第片付けますのでそのままで大丈夫ですからね」
両手を合わせていただきますをしながら横目で見られ、冨岡さんなりの了承を得たと解釈した私は再度頭を一度下げ今度こそ自室へ向かって歩き出した。
部屋について1番最初に自分の日輪刀へ手を伸ばす。
毎日手入れはしているが、再度不備が無いか確認する。
日輪刀は鬼を斬る刀であるが、それと同時に自分の身を守る術だと父からよく聞かされていた。
どんなに強い鬼と出会い、撤退を余儀なくされても絶対に刀だけは手離すなと教えられている。
私の日輪刀は父から譲り受けたままの物で、最終選別を通過後頂いた玉鋼はそのまま使わずに取っておいてあった。
「何だか刀身が最近濁ってる気がする」
陽射しに当てると以前の様な白ではない気がする。
本来日輪刀は持ち主によって色を変えるというが果たして私の色は白であっているのだろうか。
やはり作ってもらった方のがいいのかもしれない、そう思いながらここまでやってきてしまった。
「でも、父さんの刀を手放したくないなぁ」
これは誕生日に貰った大切な父からの贈り物だから。
修行は厳しかったし辛かった。だけどそれがあるからこそ今の私は生きているし、少しでも犠牲者を救えている…はず。
そして何より、自分の身を守る術となっている。
継承とは言っていたが、いつも父の口から出る言葉は私の身を守るための手段が多かった。
母からもたくさんの教えを聞いた。
今の私があるのは、両親からの愛情のおかげなのだ。
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