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「おはようございます、冨岡さん」
冨岡さんの家にお邪魔して2日目。
明朝に鍛錬をし、数時間前に鍛錬をしに行った冨岡さんの朝食を用意する。
朝方任務をかー君から聞かされているし、お弁当用のお握りを結んでいると隊服に身を包んだ冨岡さんが居間に来てくれた。
昨日の今日だから、食べてくれるかどうか不安だったけど杞憂に終わったようだ。
「今日の昼前には出立すると聞いたのでお握りも握っておきました」
「あぁ」
「朝食は既に用意していますので、私は部屋に戻りますね」
大きめのおにぎり2つを包みに入れ、手渡しすればそれもちゃんと受け取ってもらえた。
昨日言われた嫌味ではない範囲で最低限のご挨拶を済まして自室へ体を向ける。
水の呼吸の話など聞いてみたかったが、あぁ言われては仕方ない。
さて、と1歩踏み出そうとした時背後から小さな声が聞こえた。
「?」
「……」
「もしかして、またご迷惑をかけてしまいましたか?」
「そうじゃない」
よく聞き取れなかったので振り向いて首を傾げればまた無言。
もしかして朝食やお握りも不要であったのだろうか。今日冨岡さんに何かしたと言えばそれしかない、そう思ったがそれも違うようだ。
ますます分からなくなった私は体ごと冨岡さんに向けてもう一度首を傾げた。
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