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鶏肉と大根の煮物と、鮭の焼き魚、豆腐とわかめの味噌汁。
そして炊き立ての白米。

きれいに並べられた配膳を前に冨岡は無言で手を合わせ黙々と食べ始める。

それを自分の膳には手を付けず見守る月陽。



「ど、どうでしょうか」

「…あぁ、久し振りに家でまともな物を食べた」

(えー!そっちー!!)



別に美味しいまでの感想は求めていなかったのだが全く別方向の返答が来た事に少し肩透かしを食らったものの、不味くないのなら良かったと納得して自分も食事を取り始める。

無言の食卓だが、その空間は気まずいものでもなく二人の食事を取る音だけが聞こえる心地のいいものだった。

誰かと食事を共にする、それだけで嬉しいと思う月陽。



(誰かと家で食事を取ると言うのは久し振りだな)

「…月陽」

「あ、おかわりですか?」

「それもそうなんだが、それくらい自分で出来る」

「そうですか」

「………」




冨岡はそのまま煮物を無言で見つめている。
口に合わなかっただろうかと首を傾げ続くと思われる言葉を待った。



「…鮭大根は作れるか」

「鮭大根ですか?」




盛大な無言の後視線も合わせられず告げられた言葉に同じ言葉を返す。
こくり、と一つ頷いた所を見れば味が駄目だったと言うわけではない事が分かり安堵したように月陽は笑みを浮かべた。








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