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あれから私のほぼ一方的な問いに冨岡さんは顔を縦に振るか横に振るかで答えてくれていた。
何と言うか無口な子供を相手にしている気分ではあるが、これを言ったら断られそうなので心の奥底にしまっておく。


「それで、あの…1番大切な事なのですが…」

「奥の空き部屋を使え」

「えっ、よろしいのですか?」

「仮に駄目だとして、お前はどこに住むつもりだったんだ」

「近くの村か町にでもと」


内容を言う前に家に住むことを了承してくれた冨岡さんに驚きつつ、確認の意味を込めていいのかと聞いたら逆にため息をつかれた。

これから先冨岡さんのご厚意には一言お礼を言ってお受けしようと思います。
本当はどうしようかと悩んでいた所でしたと素直に言えばもう一度だけため息をつかれた。


「今日は今の所鴉から伝令も届いていない。荷解きするのなら今日の内にやっておけ」

「はい、お気遣いありがとうございます」

「それと面倒そうな敬語をやめろ」

「…尊敬語をやめろと言うことでしょうか?」


こくり、と頷いた。
確かに言い回しが面倒だと思いはしたが礼儀と思っていた為少しばかり気が引けるが、冨岡さんは譲らないものは譲らなそうだし分かりましたとこちらも頷いておく。

そして話は終わりだと言うように冨岡さんが背を向け自室であろう部屋へ姿を消した後、湯呑みを片付けて私も指定された部屋へと足を向けた。

お茶菓子はそれなりに減っていたので嫌いではなさそうだ。
というかいつの間に食べてたのあの人。
気に入ってくれたのなら全然嬉しいのだけど。




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