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「月陽」

「どうしたの?もうすぐ冨岡様の屋敷に着くよ」

「預カッタ、読メ」

「?」


あと少しで冨岡様の屋敷に到着と言う所で、一時姿を消したかー君が私に一枚の紙を渡してきた。


「えぇぇぇええ!?」


手紙を開けば簡潔な内容と共に産屋敷耀哉の文字。
そしてそこには、

水柱、冨岡義勇との任を暫く共にせよ。

とのこと。


「…これ冨岡様が許すのかな」


任務をする事に関して誰が相手でも嫌だとか気まずいとかそういう概念は私には無いが、それが向こうも同じとは限らない。
冨岡様はお一人が好きな印象もあるし、断られたら断られたで仕方ないと一息ついて思考を放棄した。

しかし私にとってはまたとない機会であり、月の呼吸は未だ8つ程しか会得していない。
柱との任はこちらにとっていいものであることは間違いないのだ。

そう、こちらとしては。

疲れたように肩に乗ったかー君に非常食用の木の実を食べさせてあげる。


「お館様は何をお考えになって私を選んでくれたんだろうね」

「シラン」

「ですよね」


私の鎹鴉は良く言えば寡黙だ。
何だか冨岡様のようだと思った事は内緒である。

田畑が続く道のりを少しだけ歩調を緩めて進んだ。
できる事ならば断られませんように。

あ、そう言えば私の宿はどうしたらいいのだろう。



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