未だに不思議そうにオレを見てくる総太の肩から手を滑らせて両手を握ったら名前を呼ばれた。総太を追いかけようとした時に掛けられた声と同じ声で。前を見ればジャンルカとフィディオと女の子が3人。あれか、ナンパが成功したとかそんな感じか。先程名前と呼んできた女の子はオレと総太を交互に見て問いかけてくる。意識を総太に集中させながら問いかけに答えようとしたらまたあの違和感を感じて総太の名前を呼んだ。驚いたような表情でオレを見ている総太。それから視線を泳がし始める。掴んでいる両手に力を入れて握り目の前の5人に、にこりと笑みを浮かべながら断りを入れる。


「どうしてぇ?マルコも一緒じゃないとつまらないわ!その子も一緒でいいから、ね?」

「本当にごめんね、彼はまだイタリアに来たばかりでイタリアの環境に慣れていないから早く家で休ませてあげたいんだ。母さんにも今日は早く帰ってくるように言われてるからな・・・本当にごめんな!それじゃあまた!・・・行こう、総太」

「ちょっと、マルコ!?」



総太の手を引き5人の間を急いで通り抜ける。図書館を後にしてお互い何も話す事無く家に帰ってきた。リビングに行けば母さんからの置手紙を見つけた。どうやら今夜は帰ってこないらしい。まぁ明日は学校が休みだからいいんだけど。総太の手を引いて部屋に行き、困惑した表情を浮かべている総太をベッドに座らせた。帰ってくる途中も何度か違和感を感じて握る手に強く力を入れた。そうすれば違和感は無くなり何事も無かったかのように感じた。


「総太、お前は一体・・・・」

「・・・・」

「総太と出会った時からずっと違和感を感じていたんだ・・・初めは気配を消すのが上手なんだと思っていたんだけど・・・違うよな?」

「初めてかな・・・気付かれたの・・・・」

「?」

「僕は・・・無意識を操ることが出来るんだよ」



何処か切なげに総太は微笑んだ--------------





違和感 END






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