お風呂場での騒動から、オレは気がつけば総太に触れていることが多くなった。どうやら無意識にそれをやっているらしく、気がついた時には総太は泣きそうになっていたり、困った顔をしていた。そんな事が何週間も続き、気がつけばこんな状況になっていたのだ。オレの前に居るのは総太。お互い向かい合うように座っている。足がぶつからないようにしながらお互い体育座りのちょっと崩れた感じに。こんな狭い場所にどうして一緒に居るのか、さっぱりわからない。言ってしまえば気が付いたらこうなっていたのだから最近のオレは本当に何かがおかしいんじゃないだろうか?どうしてこうなったんだ・・・



(一緒に風呂に入ってるとか・・・)



困ったような顔をしながら視線を泳がしている総太と視線のようなものをさっきから感じているオレ。入浴剤の入っている湯船の中を手探りで探し、何か丸い物をつかんだ。なんだ、これ?と思いながら手を持ち上げた。


「!?」

「あっ!」


コードのようなものが繋がっている赤い球体。いや、眼球と言った方がいいのか?驚きながらそれを凝視していれば総太はオレの手から球体を取りお湯の中にいれてしまった。


(な、なんだあれ・・・・眼だよな・・・?)

「第3の眼って僕は呼んでる・・・・」

「第3の眼・・・?」

「これを使って心を読んでいるんだよ・・・・」



躊躇いがちにそういう総太の手をお湯の中から引き上げれば、一緒に出てくる眼。いつかナツミが言っていた”あれ”ってこれの事なのか?”あれ”が開いている限りとか言っていたな。それにしても今までこんなもの見たこと無かったけど、一体何処に隠していたんだか・・・。



「誰にも見えないようにしていたんだ・・・だって怖いでしょう?」

「眼力が凄いからな」



そういえば苦笑いされた。
宙に浮いている瞳を突いたり、お湯に浮かべてみたりと遊んでいれば、総太はただ不思議そうにオレを見ている。どうしてなのかはわからないが、自分でも驚くほどにこの瞳を受け入れれていた。普通の人間には絶対にありえないものを持つ総太。話を聞けば小さい頃は皆にも見えるようになっていたんだとか。この瞳と合わせて、周りが自分の持つ力の事で嫌われる事を知ってからは見えないように隠してしまったたしい-------------



(これが開いている限り・・・・・)













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