の能力


あの日はあれきりお互い部屋に篭り会うことは無かった。次の日、朝早くに電話が掛かってきてその日、オレと総太は学校を休むようにとナツミに言われた。少し過保護過ぎないか、と思いながら総太にそれを告げ、ベッドに寝かしつけた。1時間おきに様子を見に行ったり、眠る総太の傍にいたりしてその日は終わった。









「授業中なのに呼び出してごめんなさい」

「いや・・・大丈夫だ」

「総太君はどうかしら?何か話してくれたりしたかしら?」

「心を読めるって事と、あの日は突然の出来事に対応できなくなってパニックになったとは聞いたぜ?」

「そう・・・」





紅茶を一口飲み、ナツミは真っ直ぐにオレを見ている。何か言いたそうにしている。話してくれと言えばどこか躊躇いがちにナツミは口を開いた。




「初めて総太君と話をした時、凄く驚いたわ。私が言う前に私が思っていることを全て当ててしまったの。私にはそれが不思議で仕方が無かった、だから総太君に聞いたの、どうして私の思っていることがわかるの?って、そしたら総太君は笑いながらお母さんと一緒なんだって教えてくれたわ。総太君のお母様も心を読めてしまう人だったの。私達は会う度に仲良くなっていった。そこで何も考えていない人や突然の出来事に苦手な事を知っていったの。小さい頃から一緒だったのもあって私は総太君に何の抵抗も無かった。でも、周りは違う。・・・総太君が自分達とは違うとわかった途端、みんな総太君から離れていったのよ。そして恐れ怯むようになっていった。自分が考えている事全てが総太君にはわかってしまうから」

「総太は・・・能力を制御出来るような事をいっていたが?」

「せめてもの気遣いよ、きっと。総太君は常に周りの心の声を聞いている状態なのよ。”あれ”が開いている限り・・・・」

「”あれ”?」

「ごめんなさい、気にしないで・・・それからこの間の事だけど、総太君にかなり悪質な嫌がらせをしたそうよ。突然の出来事に対応できないのを知りながら・・・」

「・・・・」

「貴方が総太君の名前を呼びながら来た事により未遂で終わったけれど・・・」

「・・・教室に戻る」



そう言い理事長室を後にした。
総太はまだ何か隠しているのか?だけど、本人が言ってこない以上、無理にそれを聞くことは出来ない。きっと総太自身、あの出来事でまだ気が滅入っている様な気がした。隣の席の女の子の話を適当に聞き流しながら総太を見つめていた--------------



心を読む程度の能力 END






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