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お礼をいい、家の中に入った。総太の部屋へと向かいベッドに寝かせる。総太の鞄を机の横に置き、一旦自分の部屋に戻り、手短に着替えを済ませて総太の部屋に行けば気が付いたらしく起き上がろうとしている総太。慌てて駆け寄り横になっているように言い、寝かし付けた。
「何か飲むか?」
「う、うん・・・」
躊躇いがちに返事をする総太に起き上がらないように、と言いキッチンへと向かった。ココアを持っていこうと思ったが粉を切らしてしまっているらしく、かわりにホットミルクを用意した。マグカップを2つ持って総太の所に行けば大人しく横になっていて、そっと笑みを零した。
「熱いからな」
「ありがとう・・・」
ベッドに座りマグカップを手にぼーっとしている総太。顔色は少し良くなっているけれど、まだ悪い。それにしても一体何があったんだ。気にはなるが詮索するような事はしないように言われたから、聞こうとは思わないけれど。
「知りたい?」
「何をだ?」
「どうして周りが僕を恐れ怯んでいるのか」
「・・・あぁ、知りたい。だけど話したくないなら言わなくていい」
総太を見ればじっとマグカップを見詰めている。お互い何も言わないから部屋の中は時を刻む音だけが響き渡っていた。暫くして漸く総太は顔を上げじっとオレを見る。その表情は最初に会った時に見た無表情だった----------------
「心を読む事が出来るんだ」
恐れ怯まれる END
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