怯ま


総太を見た時の周りの反応に苛立ちながら部室へと急ぐ。先程よりも顔色が悪く見え急いで帰る準備をする。とりあえずジャージの上を来て、制服の上着を総太の肩にかけ、二つ分の鞄を肩に掛けて総太を負ぶさる。部室を出てグラウンドに居る響木監督の所へ行けば、走り寄ってくるサッカー部の面々。とにかく早く連れ帰って休ませようと足早にその場を去ろうとすれば、ナツミに静止の声を掛けられる。どうやら家まで送ってくれるらしい。断ろうかと思ったが早く総太を休ませてやりたくてお言葉に甘える事にした。


(気を失ったのか・・・)


小さく呼吸をしている総太を膝に乗せながらただ家に着くのを待つ。視線を感じて横を見ればナツミが総太を心配そうに見ていた。



「どうして・・・」

「?」

「総太君、誰かと一緒に居たかしら?」

「いや・・・総太の所に行こうとしたら血相変えて走ってきた奴らなら居たけど。後、保健室に連れて行ったら総太を見てか、オレを見てかは分からないが慌てて飛び出して行った奴らも居たな。保健医は総太を見るなり真っ青になってるし・・・」

「そう・・・」

「総太は・・・・周りにあまり良く思われていないのか?」

「・・・・・何も知らないのね、貴方。無理も無いでしょうけど・・・詳しくは総太君の許可無しに話す事は出来ないわ。ただ、総太君はサッカー部の皆を除いて恐れ怯まれてるわ」



普段の総太を思い出す。確かに、総太の周りにはいつもサッカー部の面々が居た。いや、サッカー部の奴らしか居なかった。席だって前も後も隣の席もサッカー部の奴ら。昼休み等の長めの休み時間はいつも人気の少ない場所に行っていた。仮にも兄だというのに気付かなかったなんて・・・。



「もう少しちゃんと見ていれば・・・」

「3ヶ月ぐらいしか日本に居ないものね・・・気が付かないのは仕方が無いわ。それに総太君は貴方に何も話していないようだし尚更ね。もし、余裕があるのなら少しは気にかけるようにしてあげて・・・それから、どうして皆があんな態度を取るのかについては無理に聞かないようにしてあげて。時が経てばきっと貴方に言うと思うから」

「・・・・あぁ」




気が付けば家についていた-------------








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