部屋に戻り、今日買った物などを片付ける。ふと机の上にあるパソコンが目に付き電源を入れた。そういえばバタバタとしていたから一度も使っていないことに気がついた。後で見てみよう。そう思い電源を付けたまま放置して荷物の整理を続けた。暫くして片付けも終わりメールを打ち込んでいたらドアをノックされた。どうぞ、と言えば総太が顔を覗かせる。部屋に入ってくればいいのに、と思いながら歩み寄っていけば「ご飯できた」とだけいい、足早に1階へと行ってしまった。まぁ、昨日今日で仲良くなれる訳じゃないけれど・・・オレとしてはもう少し歩み寄りたいのだけれど・・・。仮にも兄だし。溜息を吐きつつ1階へと向かった。テーブルに夕飯が置いてある。周りを見渡せば総太は干してあった洗濯物を篭に入れていた。




「浹、食べないのか?」

「食べる・・・」





目の前に座る総太を見ながら食事を始めようとして手を止めた。そうすれば総太は不思議そうにオレを見ている。総太は箸、オレはスプーンとフォーク。確かに生まれてこのかた一度も箸なんてものを使ったことは無い。箸の存在は知っていたけど。だからと言って流石にこれはまずいんじゃないだろうか?此処は日本だし・・・これから学校に行くとなると流石にフォークとスプーンで食事をするのは・・・。そう思っていればすっと差し出される箸。




「どうぞ」

「あ、ありがとう・・・」




スプーンとフォークを見詰めていたからきっとオレが何を思っていたのかわかったのだろう。手渡された箸を総太の見よう見まねで使ってみるが上手くいかない。どうやったら総太みたいに使えるんだ?試行錯誤していたら手を掴まれた。





「箸はこうやって持って使うんだよ。そして上の方を動かす・・・」





本当に同じ男だろうか?と思うくらいに柔らかい手に箸を持たされる。丁寧に使い方まで教えてくれて、言われたように使う。しかし直ぐに上手く使えるわけも無くこれは相当な練習をしなくてはいけないな、と思いながら夕食を食べた。








夕食を食べ終え、食器を洗うといえば総太は頷き洗濯物を畳んでいた。良く出来た子だな・・・と思いながら総太を見ていれば一度オレを見て、再び洗濯物を畳み始める。オレ達の間に会話があまり無いのをなんとなく気にしながら、その日もあまり会話も無く一日が終わっていった------------





義兄弟 END






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