放課後、何時ものようにマルコやフィディオ達と他愛の無い話をしていたら携帯がなった。皆から離れ電話に出れば母親からで。今すぐ帰って来いとだけいい電話を切られた。溜息を吐きポケットに携帯を押し込んだ。また「新しいお父さんよ」なんて言ってくる母親を容易に想像できて吐き気がした。一体これで何回目だ。オレを呼ぶ時は決まってこの手の話だ。それ以外の会話なんて殆ど無い。フィディオ達に先に帰ることを告げ、さっさと家に向かった。記憶に残る父さんはとても優しくてあったかい人だった。でも、母さんはそんな父さんに飽き飽きしていた。母さんは母親なんかじゃなくいつまでも女で居たい人だった。父さんがいつの間にか居なくなって、それからコロコロとオレの父さんは変わっていった。その全員が金持ち。何年か経ち、父さんの死を知った。それから母さんとの関係が壊れていった。話すことはお互い必要最小限。それ以外の事は一切口にしない。何度も変わる新しい父さんもそうだった。オレとは関わらないようにしていた。与えられるのはお金。金さえ与えとけばいいとでも思っているんだろう。そんな奴らに嫌悪感と吐き気しかしなかった。



家に着き中に入れば男が居た。
こいつが新しい父さんか、と思いながらそいつの横を通り過ぎようとしたら母さんが目の前に立ちふさがった。なんだ、と視線で訴えれば差し出される封筒。受け取って中を確認すれば日本行きのチケットが1枚。



「日本に行ってちょうだい」



何も言わずただ頷いた---------










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