額と額を合わせ瞳を閉じた。嫌がるかな、と思ったけれど総太は嫌がる素振りは一切見せなかった。少し顔を離して総太の顔を真っ直ぐに見つめる。するりと頬に手を滑らせながら名前を呼んだ。 「な、何?」 「んー・・・オレさ、総太の事が好きなんだ」 「!」 「いつからなのかとかはっきりした事はわからないけれど。気が付いたら総太の事を好きになってて・・・」 驚いたように眼を見開いて何か言おうとしているのか口がパクパクと忙しなく動いている。頬から手を離して腰へと滑らせそのまま抱きしめる。大人しく腕の中に納まる総太を気にしつつもう一度、好きだと告げた。 「マルコ・・・そのっ・・・好きの意味はこ、恋の・・・ほうで・・・い、いいの?」 「あぁ。恋の方の好きだ」 ゆっくりと背中に腕を回され力を込められる。オレ、かなり期待してるんだけど、このまま期待しちゃっててもいいのかな?数分間、お互い何も言わないで抱き合っていた。何か言おうかな、と思った時、総太がポツリポツリと話し出した。 「マルコと一緒に居ると・・・凄く落ち着くんだ。ずっと一緒に居たいなって・・・思う」 「うん」 「僕もね、マルコが好き」 ゆっくりと離れてオレを見詰めてくる総太の額に口付ける。それから頬に口付け、数回唇に触れるだけの口付けをする。総太の唇を親指でなぞりお互い視線を反らす事無く見詰め合い、どちらからとも無く再び口づけあった。何度も角度を変え、ゆっくりと深いものへと変えていく。お互いが気の済むまで交わし合い ゆっくりと離れれば銀色の糸を引き儚く途切れた。 「オレ、なんだか凄く幸せな気分かも」 「僕も・・・」 「総太、オレはこう見えて結構嫉妬深いから覚悟しとけよ!」 「き、気をつけます・・・」 「なぁ、もう一回キスしようか」 「えっ・・ちょ、まっ・・・んくぅっ」 口付けを交わし合いながらふと第三の眼に視線を向けたら、閉じているはずの瞳が開いていて、優しく瞳が細められていた。そっと撫でれば瞳は閉じてしまいもう開くことは無かった。 --------この日から総太が無意識を操る事は無くなった 閉じた恋の瞳 END |