ハルトマン



ベンチに座ってマルコの姿を見詰める。彼はサッカーが大好きなんだな、なんて感じながら。この間のあのカフェで感じた視線を思い出す。あの女の子はきっとマルコの事が大好きなんだろうな。あの視線に込められていたのは嫉妬。きっと僕があの場に居なければ彼女はあんな思いをせずにすんだかもしれない。そっと息を吐き出し前を見ればジャンルカの顔をが物凄く近くにあった。


「っ!!?」

「いつも思ってたけど・・・・お前女みたいな顔してるよな」

「んぐっ!」


ぐいっと顎を持ち上げられちょっと苦しい。ジャンルカの名前を呼ぼうと口を開けば何故か指を突っ込まれた。一体彼は何をしたいんだ。なんだか視界がぼやけてきた・・・と思っていたらひょいっとジャンルカの体が持ち上がっている。口の中から指を抜かれちょっと咳き込んでいたら、ジャンルカはなんだか真っ黒いオーラを放っているマルコに連行されていった。ぽかんっとしていれば口元を乱暴に拭かれ意識を取り戻す。前を見ればブラージが苦笑いしながらオレの口元を拭き、そして隣に座った。


「ジャンルカが変な事をしてびっくりしただろう?大丈夫だったか?」

「びっくりはしたけど・・・大丈夫」

「ジャンルカはちょっと気が動転してるんだ・・・ちょっとな」


そういって何処か遠い目をしながらブラージは僕の髪を撫でながらそういう。ゆっくりと頷き前を見ればジャンルカを引き摺りながらとっても爽やかな笑顔でこっちに向かって走り寄ってくるマルコ。もう少しでこっちに着きそうな所で今度はこの間のあの女の子に呼ばれた。僕の存在に気がついたらしい彼女から向けられる視線はやはり良いものではない。マルコを見れば困ったような顔をしながら僕の所に来てジャンルカを置き、その子の所へと行ってしまった。なんだか左胸がざわついた気がしたけどきっと気のせいだと思い込むことにした。







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テーマ「人外ファンタジー」
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