あの後、あの名前も知らない女の子がどうしてもオレに会いたいとかで今日会うことになってしまった。総太も一緒、と言う条件をつけて。ちらっと総太を見ればアンジェロから貰ったカメオがそんなにも嬉しかったのか凄くご機嫌の様子だ。珍しく見せに来たしな。あの時の総太は本当に可愛かった。ポンポンッと頭を撫でていたらフィディオとアンジェロは苦笑い、ジャンルカは完全に呆れていた。気付けば待ち合わせ場所についていたらしい。総太の空気が張り詰めた気がした。女の子が苦手なのかな?と思ったがどうやら人の多さなのかもしれない。総太はあまり人が多い場所に行きたがらない。総太の手を握ればジャンルカが引き攣った笑みを浮かべている。


「お前その状態で会おうとか思ってるのか?」

「そうだけど?ここ人通りも多いし、総太はこの辺の事良く知らないから逸れたら困るだろ?」



総太は今日、携帯を家に忘れてきてるし、と言えばジャンルカは呆れたように溜息を吐いていた。総太に視線を向けたの同時に名前を呼ばれそして腕に何かが巻きついてきた。視線を向ければちゃんと(?)話したのは確かあの図書館の時に断りを入れる時だった気がする女の子。ジャンルカとフィディオに名前を教えてもらったけど忘れてしまった。とりあえずするりと組まれていた腕を解きジャンルカ達に視線を送る。そうすれば直ぐ近くの紅茶の専門店に寄りたいとフィディオの隣に居るなんだかお淑やかな女の子が言うのでそこに行くことになった。各々がそれぞれ見て回っている中、オレは右から話される話を聞き流しながら総太を見ていた。初めて入るお店だからか落ち着かない様子で辺りをキョロキョロと見ていた。


「総太、何か気になるモノ見つかった?」

「えっと・・・その・・・・」



困ったように視線を泳がしている総太にやんわりと微笑みながらゆっくり選んで良いからな、と告げ再び話しかけてくる女の子の話を適当に相槌を打ちながら聞き流す。そういえば家で紅茶飲むのオレと総太と時々母さんだけだな。総太はどうやってもコーヒーが飲めなかったのを覚えている。あの時の総太の苦いっ!っていう表情がこれまた可愛らしかった。隣の女の子は私は紅茶よりコーヒーかなぁ、マルコは?なんて聞いてきたからすかさずオレは紅茶派と返しておいた。総太に視線を向ければ紅茶缶を一つ持っていた。


「総太、見せて」

「はい」

「・・・4つの赤い果実かぁ、それ買って帰ろうか」


総太から缶を受け取り会計を済ませに向かう。ぱぱっと会計を済ませフィディオ達を待ちオレ達は近くのカフェへと移動した。







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