※主人公視点

「おい、太るぞ」
「やめて」

カーテンを開けるなり、翔は私にするどい一言。ただでさえ太陽の光が眩しすぎて目が潰れそうなのに、まさか心まで潰しにかかるとは。

「お前年明けてから食ってばっかじゃん」
「やめて」
「そんで腹いっぱいになったらすぐ寝てさ」
「やめて!」
「お前曲は作り終わったわけ?ずっとテレビ見てんじゃん」
「や!め!て!」

翔はずばずばと言葉のナイフで私を突き刺す。実際体重は4キロ増えた。まずいことは分かってる。でもさ、三が日は翔がどのテレビ局からも引っ張り凧でずっとテレビに出てたから私1人で寂しかったんだもん。翔のテレビ見ながら1人で寂しく三が日過ごしたんだからね。恥ずかしいから言わないけど。曲だって大体はできてるし、今日くらい寝てても大丈夫。明日から本気出す。と、いうことで。

「…おやすみ」
「おい!自己解決してんじゃねーよ起きろ!!」

翔は本当に喧しい。




(( 寝正月 ))




あれから翔は私の布団を剥いで私をベッドから追い出した。渋々這うようにして部屋を移動した。目的地はリビングのこたつ。でもそんなこと察している翔は私より先にこたつに辿り着き、こたつの前で仁王立ちしていた。

「あの、ちょっと翔さん」
「何だよ」
「邪魔なんですけど」

早くこたつで寝たいのに翔が邪魔する。退け。開かない目で睨むと、翔はお母さんみたいなことを言いはじめる。

「着替えてこい」
「え?」
「着替えてきたらこたつ入れてやるから着替えてこいよ」
「…」

翔が世話焼きなのは知ってるけど、どうせ焼くなら中途半端にしちゃだめだと思う。将来いいお母さんになれない。私は翔を教育するために力になってあげないと。

「やだ」
「な、」
「じゃあこたついい、ここで寝る」

ごろんとその場に寝転ぶと、翔は苛ついたように私を起こしにかかった。ちょっと強引で痛い。まだお母さんには程遠い。私がにやってしながらバンザイすると、翔は目を見開く。

「は?」
「バンザイ」
「…、は?」
「だから、翔が着替えさせて」
「なっ、ななななんっ何で俺が!!!」
「じゃあ着替えない」
「…っ」

途端に翔の顔が真っ赤になる。お母さんが照れててどうする。将来子供の着替えも翔がやるんだぞ。私めんどくさいからしない。

「そ、そんなの、自分でっ」
「翔ー、バンザイ」
「〜〜〜〜…っ、くそ!」

あ、勝った。翔は真っ赤な顔をしながら私の服を脱がせた。




…そして、何事もない。着替え中に襲われるのもちょっと考えてたのに、ない。今日の下着がえろくなかったのが問題なんだろうか。翔は私に何故かジャージを着せた。オシャレさんの翔のことだからもっと可愛い服を着せてくれると思ったのに。でもその理由はすぐに分かった。着替えが終わっても翔がこたつに入れてくれなかったからだ。何だか嫌な予感がする。

「よ、よし、終わったな」
「うん」
「ジョギング行くぞ」

ほら当たった。何を言ってるのこの子。今の私、多分すごく真顔。だったら着替え中に襲われた方がマシなのに。

「いや、ジョギングって意味分かんないから」
「そろそろ体動かさないとまじで太るぞお前」
「だからってですね、」
「体動かすぞ!」
「聞いてよ私の話!」

あ、今のおいでよどうぶつの森みたいでちょっと語呂がいい。内心にやっとしてしまった私の一方で翔はぷんすこしていた。

「じゃあどうすんだよ!」
「毎日走ってる翔と一緒にしないでよ、明日筋肉痛になっちゃうでしょ。どうしてもって言うなら他のにして」
「例えば」
「羽根突き」
「却下」
「何で!音也とセシル呼んでやろうよ!」
「やんねーよ!やっと正月休み取れたのに何でわざわざまたあいつらの顔見なきゃなんねーんだよ!」
「え?仲悪いの?」
「そうじゃなくて。…お前と2人っきりがいいんだろ」

翔は不意打ちでデレてくる。ほんとに不意打ち。顔熱くなる。翔まで顔真っ赤。何やってんだ私ら。

「じ、じゃあ、福笑い、やろ」
「お、おう、いいなそれ」

私と同じく、いやそれ以上に顔を真っ赤にさせた翔はどうやら自分の発言でのダメージが大きすぎたらしく、本来の体を動かすという目的を忘れてまんまと私の提案に頷いてしまった。




双六、花札、独楽、お正月の遊びはたくさんあるのに何で福笑いなんかチョイスしたんだろう、私。今すごく悶えるシチュエーションに私はいた。あの大人気アイドルが私の目の前で目を閉じている。睫毛が長くて、色素薄いからなんかすんごい綺麗。お肌もきめ細かくてすべすべぷるん。ぷくってしてる唇とかもすごく可愛いし、綺麗。アイドルってすごい。と、ものすごい勢いで翔のこと観察してたら、急に翔が笑い出した。犬歯が可愛い。

「はは、これ難しいな、こうか?」

福笑いの話に戻す。翔は全然違うところに口を置いた。目と鼻は大体いいところに置いたのに、口歪みすぎ。あとは眉毛だけだけど、これももう全然違うところに置こうとしていた。

「翔下手くそだね」

はは、と声だけ笑ってみる。顔はすごい真顔。翔が目を瞑ってることをいいことにずっと真顔で翔観察。ほくろとかないよね、シミもないし、アイドルすごい。あと何度も言うようだけど唇がぷくってしてて美味しそう。

「んー、この辺?」

翔は耳の下に眉毛を置いた。全然違う。でも笑えない。今はそれどころではなく翔に夢中。全部を置き終えた翔はやっと目を開ける、あー、澄んだ水色がたまらない。

「うおっびっくりした!お前顔ちけーよ!」
「え?」

翔に言われてハッとする。翔のこと観察しすぎて顔をぐいぐい近づけてたみたい。

「ご、ごめん…」
「なぁ、よだれ…」
「えっあっ」

じゅるっとよだれを吸う。やばい、垂れてた?翔に集中しすぎて口に力も入ってなかった。

「お前顔こえーよ…どうした?」
「いやはや翔くん美しい」
「は?」
「アイドルって皆そうなの?顔綺麗すぎない?」

私がドストレートに褒めたら翔は照れ臭そうにしながらもどや顔を始める。

「ま、まぁな!アイドルだしな!」
「翔かっこいい」
「まあな!俺様は芸能界を背負って立つ男だしな!」
「好きだよ」
「知ってる知ってる、俺様は偉大だからな!」
「食べていい?」
「おう!…ん?」

今許可出たよね。ってことで私は翔が言葉の意味を理解するより先にぱくんと翔の唇を食べた。やっぱりぷにぷにしてる。唇をはみはみ噛んでると翔の顔がぼぼっと一気に赤くなっていった。今頃理解したのかな、可愛い。可愛いって言うと翔は怒るけど、可愛いものは可愛いから仕方なくない?

「…、翔唇おいしい」

唇を離してぼそりと言うと、翔は真っ赤な顔のまま私を睨む。

「おっおまえなあ!」
「なあに」
「俺は食いもんじゃねえんだぞ!」

顔真っ赤だから怒っても全然怖くない。かーわいー。翔の腰をするんと撫でたら翔はびくっと腰を捩った。

「お、おま、え…っ」
「うん、その気になっちゃった。相手してくれるよね?」

にやあって笑ったら翔は真っ赤な顔で私を睨んできた。





「ま、まて、ちょ、」
「待たない」
「っ、ばか、!」

ぎゅいっとナカを締めたら翔がまた苦しそうに息を漏らした。可愛い。翔は初めてのときからずっと慣れない様子で可愛いまま。ずりずり引き出すときが1番びくってなる。

「もう、イきそ?」

にやぁって笑ってみたら翔は真っ赤になったけど実際そんなに余裕もないらしくてガッチガチになったそれを私に押し付けてきたから私も応えてあげようと思ってナカまで飲み込んできゅうううって締めたままぐりぐり腰を回してあげた。そしたらびゅるってちょっとだけナカに熱いの出た。

「もっと思いっきりイけばいいのに」

クスッて笑ったら翔は肩で息しながら私をギリリっと睨んだ。悔しがってる、可愛い。今思いっきりイかなかったのも堪えたんだろうなぁ、そんなところで男気出しても仕方ないのに。と、思っていたら。

「え?」

ぐらり。
視界が回転する。え、何、これ。

「し、しょう…?」

とさ、と背中に違和感を感じて、体勢が交換されたんだと知った。騎乗位のまま押し倒されただけだから本当に視界が回った。翔が眉を歪めながら私を見下ろしている。

「お、まえ」

ずるずるっと翔のモノが抜かれる。さっき翔がちょっと出したのが奥から内壁を這って出てきてなんか変な感じ。入口のところまで抜かれて、またゆっくりゆっくり挿れられる。
あ、これ、ぞくぞくするかも。

「今日は、お前がイくまで、イかねえから」
「は、あっ」

いつもみたいなのじゃなくて、ぐっぐってゆっくり進まれて、翔のモノの形とか分かる。いつもより硬いとか、熱いとか、変になりそう、何これ。こんなのならいつもみたいながつがつしたやつの方が耐えられるのに。

「ぁ、しょう、あ…っ」

なんかじわじわクる。背筋に通るぞわわわってしたものがずっと続いてて、何これ。

「あっや、だめぇ…っ、はぁ!」
「は、?まだ奥まで、入って、ないけど」
「やぁ、やだ…っん!」

やっと奥までキたのに翔はまだぐぐっと体重かけて奥を抉る。子宮届きそう。やばいかも。

「あっだめ、それ、はぁっ!ぬいっ…あぅっ」
「ぜってー抜かねえ」

思わずシーツ握ったら翔がにやってした。きっといつもみたいな反応じゃない私を楽しんでるんだ。悔しい、いつもは私が翔をいじめるのに、こんなの悔しすぎる。翔はナカで動かないまま私のおでこにキスしてきた。何回も何回もして、だんだんほっぺに移動してきて、唇にもらえないのがもどかしい。

「は、ぁく…っ」

キスされてるだけなのにどきどきしてナカが締まる。翔の形も分かる。
翔は私の唇にちゅって優しく触れてきた。堪らず舌を出しても舌絡めてもらえなくて、舌にまでちゅってされた。すごく焦らされてる。優しくキスされるだけでナカとろっとろになっちゃって、激しくぐちゅぐちゅされるときより濡れてるかも。

「お前、こういうの、好きなの?」

翔がちょっとだけ私を見下ろしたまま人差し指で乳首ぐりってしてきた。いつもはそのくらいじゃ全然なのに、びくんって体が反応しちゃった。うそ、何で。乳頭はそこそこに、乳輪ばっかりカリカリ引っかかれると太ももがひくひく痺れる感覚。
 
「あっ…ち、待って…っ?」

ひくひく、ナカも動いてる。こんな感覚初めてで泣きそう。いっぱい動いたほうが気持ちいいものだと思ってたのに、全然動いてないのに、何で。私がびくっと身体を捩ったら翔が脇腹撫でてきた。ぞわぞわする。いつもはしないけど、今日は翔がナカにいるからかな、すごく意識しちゃう。

「なーに泣いてんだよ」

翔は私の目元にキスをした。それすらビクッてしてナカ締めちゃう。翔のはさっきよりすごく熱く硬くなってるからきっと私の締め付けでかなり我慢してると思う。だったら動いてさっさとイかせてくれたらいいのに、こんな焦らされた方が感じちゃうよ。

「んっ…しょう、ほんとに、もう、」
「もうちょいいけるだろ」

翔は背中をぐっと倒して私の乳首を舐めはじめた。側面をなぞるようにねっとり舌を這わす。いっそ噛んでくれたらいいのにって思うけどそれもされない。ぞわぞわが続いてもどかしくてナカ締めつけちゃって気持ちよくなって、あ、何これ。

「あっ…あ、な、に…っ!」
「ん?クる?」
「ひぅっ!っ、キ、そう…っでも、もうすこし…!」

泣きじゃくりながら翔に抱き着いた。不意打ちのことで翔の歯が私の胸に当たる。なんとか乳首までずらしてそこに自分で擦り付けたら翔が苦しいのか私のお尻をちょいちょい触ってくる。でもそれ煽るだけだし。

「っ、あ、あぁああ…っ!」

びくびくっ。イッたのと同時にナカに熱いのがキた。また翔がちょっと出しちゃったみたい。くったりそのまま体の力抜いたら翔がにやってしてた。

「ちゃんとイけたな」
「翔もちょっと出したけどね」
「うっせえ」

こんなにぞわぞわが長時間続いたことないし疲れちゃって眠くなってきた。翔が私の頭を優しく撫でる。

「もう寝るか?」

自分のガッチガチなくせに翔はやっぱり変なところで男気を見せる。可愛いなあ。私は頭だけちょっと持ち上げて翔を見た。汗が色っぽい。

「いいよ、翔イッて?今度は動いていいから」

ばか、とか言うつもりだったであろう翔は顔を赤くさせたあと諦めたように自分の髪を掻き上げて私の太ももを掴んだ。かっこいい。やっぱりアイドルはすごい。翔が膝立ちのまま上から体重かけるみたいに奥に突っ込んできた。

「じゃあ、いくぜ」
「ん、」

ムードもなしに予告してくる翔は本当に最初から容赦なかった。すんごいいっぱい我慢しててくれたんだろうなあってぼんやり思いながら酸欠になりそうなくらい喘いだ。ちょっとがつがつ乱暴だけど奥のいいところ当たってて気持ちいい。Gスポにはカリ引っかけられて、頭沸騰しそう。

「あっ、あ、あ、あ!しょう、ん!」
「っく…、!」

びゅるるるるるる!
やっといっぱい出た。熱いの奥にかけられて、私もイッた。なんて体力の使う時間だっただろう、これで2キロは痩せてなかったら文句言ってやる。さすがに疲れて翔を見たら、翔も寝オチしそうなレベルでうとうとしてた。可愛いなあ。

「しょう…、寝る?」
「ん、わり」

翔はずりゅうってナカから出て、そのまま私の横に寝転ぶ。ぎゅううって抱き着いてきて、眠そうな目で上目遣い。

「じゃあ、おやすみな?」
「うん、おやすみ」

きっと私も翔も同じタイミングに寝オチたと思う。意識が飛んでった。すやすやぐっすり寝て、結局寝正月になっちゃったけど、まあいいかと思う。


END
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お待たせしてごめんなさい、湯浅さんとりかさん。お正月というか寝正月なのですが、大変遅れて1月ぎりぎりです。ごめんなさい。翔ちゃんとぐだぐだお正月を過ごせたらと思いました(過去形)。これからもよろしくお願いします。
20130131
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