勝呂くんの大きな手が名前ちゃんの頬に触れた途端、名前ちゃんはびえええと泣き出しました。涙が滝のように出てきます。勝呂くんは慌てて服の袖で涙を拭いますが、意味がないくらい溢れてきます。

「りゅうじぃ…、すきやぁ…っ」
「何やねんほんまに」

勝呂くんは完全に動揺しています。名前ちゃんの気持ちが読めません。とにかく分かるのは、涙でうるうるの目が可愛いということだけです。

「すきやぁ…うちはりゅうじのこと、っ、すきやぁっ」
「…」
「りゅうじは、うちのことすきちゃうん、?」

名前ちゃんはぼろぼろ涙を零しながら勝呂くんの服を両手で握りました。

「何でそうなるんや…、」
「そうやんなぁ、うちはいつもすきゆうてるけど、竜士言わへんもん…。…もういややぁ…竜士はうちのことすきちゃうんねやぁ…っ」
「そうやない!言われへんだけや!」

勝呂くんは名前ちゃんのほっぺを両手で包み、ぐいっと持ち上げて顔を自分の方へ向けさせます。勝呂くんの顔はほんのり赤くなっていました。

「俺かて名前のことほんまに好きや。シたいって思わへんわけないやろ、俺かてシたい。せやけど、中途半端な歳でシて名前のこと傷つけるんはいやや。軽率な行為で望まない妊娠に繋がることもあるねんぞ。コンドームで避妊しても100%防げるわけやないし、ピルを使えば名前の体に負担かけることになる。俺はそこまでして名前とシたいとは思えへんってことや。お前とは将来のこともきっちり考えとるさかい、子供欲しなってからがええと、勝手に思っとる。…最後のは、こんな勢いで言うことちゃうし、忘れてくれ」

言い終わる頃には勝呂くんの顔は真っ赤になっていました。それを見て名前ちゃんは思わず笑ってしまいます。笑うなや、と目で訴えてきますが、正直無理です。

「何やのそれ、教科書に載ってることやないか」
「行為の危険性をゆうたまでや」
「しかも勢いに任せてこの場でプロポーズて」
「せやから忘れろゆうたやろ!俺かてもっとムードあるときに言いたかったんやぞ!」
「竜士、」

名前ちゃんはにこっと笑って見せました。涙は止まったようです。

「ありがとうな」

名前ちゃんがそう言うと、勝呂くんは恥ずかしそうに視線を逸らしました。初めて見たときはこわいと思った顔も今ではこんなに可愛く見えるなんて、名前ちゃん自身驚きです。名前ちゃんはそっと勝呂くんに抱き着きました。

「好きやで、誰にも負けへんくらい」
「俺かて負けへん」

勝呂くんもそっと名前ちゃんの背中に腕を回しました。


END
--------------------
さすがガリ勉勝呂くん、といったオチです。行為の危険性をばっちり押さえてます。本当はムラムラしまくってたら可愛いです。この後は「勉強続きあるねん」とか言って勝呂くんが勉強を始め、「何でや〜構ってえや〜」「やかましい、帰れやもう!」みたいなやり取りをしたいです。名前様、お付き合いありがとうございました。
20120929
(  )
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -