丁寧に何度も指で撫でられ、唇を固く結んで声を殺した。それを責めるように擦り上げられると堪らなく腰が逃げ、その様子に彼はにやにやと笑うのだ。
「悪い癖だな。ま、堪えられるうちは好きにしな。そういうのを善がらせんのも楽しいもんだぜ」
「ん、くぅ…っ、」
中から聞こえる水音と、わたしの荒い息遣い。それだけで彼に感じていることは明確に解ってしまうのがどうしようもなく恥ずかしい。せめて声だけはと耐えるものの、奥歯がガチガチ鳴ってしまう。
「主、そろそろ、」
ぐ、ぐ、と中で隆起した性感を押し上げられ、内腿が痙攣してくる。あと少し、もう少しお腹に力を入れたら達するかもしれない。快感に喉を反らし、彼の指をしゃぶるように締め付けて爪先を伸ばすと、彼はその長くて太い指をわたしの中から、ぐぢゅ、と引き抜いた。じんじんと膣内が疼き、わたしは目を見開いて彼の糸引く指を追ってしまう。
「あ、ぇ…っ?」
「何不思議そうな顔してんだよ、そろそろいいんだろ? それとも今日は指だけで終いか?」
彼が自身の熱を握るので、漸く見開いた目を閉じて深く息を吐いた。全身から汗が噴き出し、まだびくびくと蠢く膣内。寸止めされた熱が彼からの刺激を待ちわびて、少し腰が跳ねそうだ。
「ん…、来て…」
「じゃあ、息を止めるなよ」
ぐぐぐ、と男根が肉裂をゆっくり割ってくる。敏感な入り口も、先程散々時間を掛けて愛撫された場所も、そして男根でしか貫けない奥も。焦らされた体には行き過ぎた刺激で、堪らず腰をくねらせる。
「んんっ、ぁ、ああぁ…っ」
「っ、はぁ…、もう我慢比べは終わったのか?」
「あうぅ…っ!」
びくっ、びくっ、と何度か腰が跳ね、挿入だけで絶頂を迎えた。そのまま彼がゆっくりと出し入れをするものだから、次の絶頂がやってきそうだ。
「まっ……待って兼さんっ、あと少し、」
「馬鹿言え、俺はあんたを善がらせるのが楽しいって言っただろ」
制止の声も無視され、腰の動きはどんどん速くなっていく。出しては入れ、出しては入れるだけの単調な動作に声が我慢できない。奥まで届くと脳髄まで快感が走り、何度も喉を反らした。
「あっ、あぁんっ、ああぁ…っ!やっ、やあぁ…っ、まって、ぇ…っ」
「、好い声出てきたじゃねえか…」
「はぁあ、んっ、んっ、あぁう…っ」
わたしの声に彼も興奮が隠せていない。腰を激しく遣いながらべろりと舌舐めずりをしてわたしを見下ろす。汗で張り付く髪を鬱陶しそうに掻き上げてからわたしの頬を掌で包んだ。
「ずっと、痙攣してるな…、」
「っぅん、くる、し…っ」
「はっ、気持ちいいからだろ?」
彼の息も上がっている。湿った肌を重ねながらこうして頬を掌で撫でられると、どうしてこんなにも満たされるのだろうか。激しくなる腰遣いに声も痙攣も大きくなるばかりで苦しいのだが、それ以上に心地好い。彼の体温が、彼の愛が、こんなにも感じられる。
「あ、だめっ、あぁああ……っ!!」
びくんっ、と大きく腰を浮かすと、流石に彼も腰の動きを止めてくれる。鼓動と同調してぎゅうぎゅうと男根を締め付け、精子をねだるように動く膣に彼が眉を寄せて、気持ち良さそうに息を深く吐き出した。わたしの内腿が、お尻が、腰が、全て痙攣する。
「深いな…っ、腹まで痙攣してるぜ…」
そんなこと言わないでと叱ろうにも、口から出るのは全て喘ぎ声だ。彼の言った通り深く絶頂を迎えてしまったために痙攣が止まらない。びくびくと小刻みに上下する腰が自分のものではないようで恥ずかしい。彼がわたしの腹部をそっと撫でる。
「動かねえで出ちまいそうだ…、」
「っ、…だ、だして…」
「!」
彼の掌に自分の手を重ねると、その瞬間に中に熱が注がれた。彼が指を絡めて欲を吐き出す。荒い息遣いが更に荒くなり、痙攣した腰をぎゅうううと押し付けると、暫くして彼は満足したように絡めた指を解いていった。
「はぁっ、はぁ…、主、息しろよ?」
「ん、ふうぅ…っ」
「痙攣、止まんねーな」
彼が少し嬉しそうに微笑む。こちらがこんなに苦しいのに少し腹立たしいが、労るように腹部に掌を置いてくれるので文句は言わなかった。彼に出された中が熱くて、愛おしそうな視線が熱くて、体が燃えそうだ。
「やっぱあんた、可愛いな」
「えっ?」
「焦らした後がすげえ好い」
挿入前の寸止めが意図的だと解り、ますます腹立たしいが息が乱れすぎて何も返せない。わたしの怒りなど知らぬ顔で、彼は男根を抜いてわたしの横に体を倒し、抱き寄せる。わたしが声を我慢するのと同じで、彼にもまた意地の悪い癖があるのだ。後で文句を言ってやろうと強く思いながら、彼の腕の中で遠退く意識をゆっくりと手離していった。
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フォロワーさんからのリクエストで初めて兼さんのえろを書きました。
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