視線が、痛い。
気のせいだとやり過ごせるものではないくらい仗助くんがわたしを見つめている。仗助くんは分かりやすいくらいに態度に出る子だから、わたしのことが大好きです!という態度に日々困ったり癒されたりしているものの、今回のこれはまたちょっと違う気がする。そんなに見つめたら穴が空いちゃうよ。

「仗助くん、何かあったの?」
「え?」
「すごく、見てるから…」

やや気まずいけど意を決して訊くと、本人は指摘されたことに驚いたように目をまんまるくした。いや、気づくでしょ普通。

「いや〜…名前さんって大人っスよね。完璧すぎるっつーか。だからどっかに欠点があってもいいんじゃねえかと思って見てたんス」
「何それ、わたしなんか欠点だらけなのに。見つかった?」
「それが、さっぱりっス…」

しゅんと肩を落とす仗助くん。わたしは仗助くんが思うほど大人でも完璧でもない、ごく普通の一般人だ。それでも、年下の仗助くんから見たらわたしは大人に見えるのかもしれない。

「ふふ、ありがとう。仗助くんの前では素敵な女性でいたいからね」
「それずるくないっスか? 俺だって名前さんの前ではかっこつけたいのによォ〜…」
「仗助くんはいつもかっこいいよ」
「そんなこと言って名前さんは俺のことガキ扱いだもんなぁ」

してないよ、と言う前に仗助くんがわたしの顎を掴む。わたしよりずっと大きい掌に包まれ、心臓が一気に跳ね上がった。綺麗な仗助くんの瞳がわたしをじっと見つめている。

「もう良くないっスか? そろそろシたいっス…」
「…だめ…未成年でしょ…」
「ホラ、またガキ扱い。ああそうですよ、俺はガキですよォ〜。けどね、そういう御年頃なんだから仕方ないでしょお」

別に仗助くんが未成年だなんて本当は関係ない。初めてでもないくせに緊張して少し怖いからだ。こんなにもかっこいい仗助くんに抱かれてしまえば、自分がどうなってしまうのか全く想像がつかない。だから、ごめんね、逃げさせて。

「前にも言ったでしょ、仗助くんがちゃんと大人になってからって」
「俺ぁまだまだガキで魅力がないっスか? ガキに抱かれるのは御免ってこと?」
「そういうわけじゃ…」
「ならちょっとくらい…」

ちゅ、と唇が重なる。触れるだけのキス。さすがにキスまでもを拒絶する気はないので大人しく瞼を閉じた。仗助くんの少し厚くて柔らかい唇がわたしの唇を挟み込む。

「ん…」

これだけで気持ち良くてうっとりしそうだ。角度を変えながら何度もはむはむと唇で愛撫されると、今度はぬるりと唇を舐められた。ちょっとだけ、ね。薄く口を開くと仗助くんの熱が入り込んでくる。わたしの舌先を見つけると唾液を絡めるように熱を擦り付け、ねろねろと口内を貪った。熱い舌が溶け合いそう。

「っ、ん、んぅ…」

仗助くんの胸板に手を置きながら少しずつ呼吸が乱れていく。粘膜を柔らかいもので擦られるのはこんなにも気持ちいいものだろうか。角度を変えてより深く、絡めて、吸って、味わって。恥ずかしくて仗助くんの胸板を押してみるものの、仗助くんは退こうとするどころかわたしの後頭部へ腕を回して逃がすまいと拘束していた。舌が、気持ちいい。

「ん、く、ぅ…っ、ん、ん、」

唇の端から唾液が伝う。仗助くんは勿体ないとばかりに少しだけ唇を離してそれを舐めとると、再び唇を押し当てて舌を絡めた。今度は舌先を小刻みに刺激される。声が我慢できなくなる。

「っ、はあ…っ」

限界を迎え、いやいやと首を振りながら何とか唇を離すと、仗助くんは熱っぽい顔でわたしを見つめていた。下半身が熱くなる。仗助くんがすごく色っぽく見えるのは、気のせいじゃないよね。

「名前さん、なんて顔してるんスか…」
「ぁ、え…っ?」

ふわふわと快感の余韻を引き摺りながらも仗助くんを見つめると、大きな掌がまたこちらに伸びてきてわたしの両頬を包んでしまった。あったかい。

「キスだけでこんなえっちな顔になっちゃうんスね」
「仗助くんが…えっちなキスするから…」
「グレート…最高にかわいいっス」

ちゅ、と額に口付けられ、またじっと見つめられる。仗助くんの長い睫毛が顔に影を落としながらわたしを誘うのだ。この色気、本当に年下のものだろうか。

「名前さん、…抱きたいっス」

懇願するような口振りなのに、表情が全く伴っていない。熱に飢えた獣のようにわたしを見下ろして今にも噛み付いてきそうだ。こんな彼を前にして拒絶できるほどできた大人なわけではない。

「もう〜…大人になるまではと思ってたのに…」
「!…もしかして名前さんの弱点は俺っスか? 仗助くんのおねだりには勝てないみたいな?」
「自分で言っちゃう、それ?」

仗助くんの首に腕を回すと、仗助くんは嬉しそうにまたわたしにキスを落とす。劣情を隠さない炯眼でわたしを捕らえ、まるで完璧でないわたしを暴かれるのだ。

--------------------
ジョジョドハマり中です。仗助くん、純愛派とは…?
(  )
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -