無防備に眠る姿は可愛いけど、幸せそうに口許緩めちゃってさあ、どんな夢見てるんだか。俺の胸板に擦り寄る名前をじっと見つめる。俺は悪魔だけど人間と同じで、他人の感情コントロールはできないし、況してや夢の中を操作することもできない。もし名前が他の男の夢を見ていたとしても、俺は何をすることもできない。例えそれが名前の意思でなくても、やっぱり妬ける。俺の、俺だけの夢を、見ていてほしい。

「なぁ、どんな夢見てるのさ」

頬を指でなぞると、擽ったそうに身を捩って俺に背を向ける。なんて生意気。睡眠中は見逃してもらえると思うなよ。あんたの全ては俺のもので、あんたが俺の許から離れるなんて有り得ないんだから。肩を掴んでもう一度俺の方を向けさせるけど、やっぱりこの程度じゃあ起きないよね。

「本当にかわいいなぁ…」

つい声が漏れてしまう。可愛い。本当に可愛くて、恐ろしいくらいだ。何年、何十年と眺めていても全く飽きない。実物を見たのはつい最近だけど、可愛さも愛おしさも年々増していく。だからこそ心配だよ。俺はずうっとあんただけでも、人間の心変わりの早さは信用できない。死ぬまで俺を愛してくれるとは限らない。どうしたら俺に縛られ続けてくれるんだろう。
薬指を持ち上げて傷を確認する。俺の牙の痕が痛々しく残っていた。ここに俺の牙を埋め込んだときの感触、まろやかな血液の香り、痛みに歪んだ名前の顔、全部覚えてる。指を噛まれる経験なんて、人間にとっては貴重な体験なんじゃない? あんたにもあの日のことを忘れてほしくない。俺のことだけを想って、俺だけを見て、俺だけを感じて、俺のことだけを考えながら眠ってほしい。そうしたら夢の中だって、俺と会えるかもしれないじゃない。

「夢の中まで独占できたらいいのに…」

薬指の噛み痕を撫でていると、名前がぐっと体を寄せて甘えてきた。眠っていても、俺を求めてくれるのかな。可愛い名前を見ていると満たされてきて、それどころかついムラッときちゃうけど、発情したら悪魔になっちゃうから我慢。背中へ手を回して抱き寄せると、首もとに温もりを感じる。

「おやすみ、名前」

大好きな大好きな、俺の名前。夢の中でもきっと会いに行くよ。

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どこまでも独占欲が強いです。
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