主は審神者で、俺達は付喪神。そんなことは解ってる。俺がどれだけ頑張っても、どれだけ想っていても、主がこの本丸の審神者である以上独り占めはできない。主は誰にでも優しくて人懐こいから本丸の皆に慕われている。独り占めしたい。してしまいたい。でも、できないんだよなあ。

「はあ…」

溜め息を誤魔化すように盃を呷る。主は扱いにくい俺にだって優しくて、こんなにも心を掴まれて恋い焦がれるくらいには魅力的だ。そんな俺を、好きだとも言ってくれる。じゃあ両想いなのかと期待しても、こうして複数人でいるときの主は俺以外の男と楽しそうに話しているし、結局は慰めに付き合ってくれてたのかもしれない。解らない。こんなこと考えてる男なんか誰でも嫌気が差すだろうし、せめて口にしないようにしているけど、本当は今すぐふたりきりになって俺の腕の中に閉じ込めたいよ。

「清光、」

上機嫌な主が少し離れた場所から俺を呼んだ。咄嗟に笑顔を作ってしまうのも、最早癖だ。主はそんな俺を見て更に機嫌を良くしたのか、へにゃりと柔く笑うのだ。

「お酒足りてる?」
「うん大丈夫、ありがと」
「清光もこっちおいでよ」
「そうね、後で行くよ」

そう告げると満足したのか、主はまた他の集団の会話へ戻ってしまった。たった数瞬だけど俺のことを気にかけてくれて嬉しかったのに、主はやっぱり俺だけのものにはならない。好き、好きだよ。こんなにも主のことが好きなのに、俺は主を求めているのに、主は俺と同じ気持ちじゃないんだよなあ。楽しそうに口を大きく開けて笑っている主を見つめ、俺の感情はどんどん黒くなっていく。これじゃあ、愛されっこないよなあ。主に俺だけ見ていてほしいなんて、強欲にも程がある。それでも、ごめんね、俺は主のことが大好きなんだよ。

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短いですが、フォロワーさんに素敵なイラストを描いていただいたので。
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