舌先を軽く吸われ、しゃぶるような愛撫に思わず肩を上げる。帝歌くんのキスは情熱的で、官能的で、少し強引だ。ちろちろと先端を擦られて唾液を絡ますとそれを吸い上げて唇で挟む。単調な動作の繰り返しなのだが、これに弱いわたしは舌が溶かされそうだった。熱い舌で、柔らかな唇で、わたしを翻弄する。それでいて帝歌くんはわたしの熱には知らん顔だ。腰が疼く。帝歌くんに凭れるように体重を掛けると、小さく口角を上げてわたしの髪を撫でた。大きな掌に心地好くなる。

「何か言いたげだな」

唇を離した帝歌くんは唾液を舐め取ってくすりと笑った。解っているくせに御決まりの御預けコースだ。そもそも仕向けているのは帝歌くんなのに質が悪い。

「…ずるい」

拗ねた振りをすると帝歌くんは悪戯に笑って見せる。あの真面目で近寄りがたい王子様が、こんなに生き生きと笑みを浮かべている姿など誰も想像できないだろう。独占できるのは勿論嬉しいが、この顔を目の前にするとそうも言っていられない。

「あぁ、俺は狡い男だ。お前も解っているだろう?」
「何でいつも帝歌くんからシてくれないの…」
「求められたいんだよ。お前が一生懸命俺を求めてくれるのが愛おしいんだ。ほら、狡い俺を甘やかしてくれ」

きっと本心もあるのだろうが、それだけではない。わたしを困らせてその反応を楽しんでいるというのが大体の理由だろう。しかし手練手管に長けた帝歌くんはいつもわたしに強請らせる。女の子にはしたない誘いをさせるなんて許し難いが、わたし自身も帝歌くんを求めているのは本心だ。

「さ、触って…」
「いいのか?」
「うん、帝歌くんと、気持ちよくなりたい…」

顔から火が出そうだ。ここまでしないと触れてくれない帝歌くんは成る程狡い男なのだが、その後に見せる甘い笑顔で何でも許してしまいそうになる。実に嬉しそうに微笑み、わたしの頬を両手で包むのだ。

「そんな可愛い顔をされたら触れないわけにはいかないな」
「帝歌くんも、シたいくせに」
「あぁ、触れたくて仕方ない。恥ずかしがり屋なお前の、もっと恥ずかしい顔を見たいからな」

とんでもないことを平気で言う。反論をしようと口を開けば言葉を吐き出す前に唇を塞がれてしまった。しっとりと優しい感触に目を閉じる。真面目な帝歌くんも、意地悪な帝歌くんも、どちらも帝歌くんには変わりない。わたしが首に腕を回して抱き寄せると、帝歌くんはそのまま上体を倒してわたしに覆い被さった。

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わたしの勧めでフォロワーさんがマジきゅんに入ってくれて死ぬほど嬉しかったので書きました。
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