黒尾鉄朗という男は他人の観察がとても上手い。些細な言動の変化からその人の感情や体調、行動を瞬時に予測し、的確に当ててくる。ついこの前だって少しヒールの高い靴を履いているときに靴擦れしていると察され、且つ押し付けがましくない配慮でわたしを気遣ってくれた。あくまで場の雰囲気を壊さないよう、こんな靴を履いてきたわたしを決して責めず、それどころか自己嫌悪に陥りやすいわたしへのフォローもばっちりしてくれたのだ。相手の状態を素早く理解し、対応する。しかし逆に、悪い意味でも彼は的確なのだ。

「や…っ、てつ、ろ…っ、ぁ」
「んー?」

ぐっぢゅぐっぢゅと煩いくらいの水音。膣内を彼の熱で掻き回され、わたしの蜜が空気を孕んで立つ音を延々と聞かされる。さっきから胸板を押してみたり腰を逃がしてみたりとあからさまに嫌がっているのだが、彼は決してやめてくれない。

「も、やぁあ…っ、でき、な、」
「できない?」
「んっ、ん、やあ…っ、だって、もう…っ」
「まだ2回目なのに」

まだじゃなくて、もう、だ。頭がおかしくなりそうなほど快感に酔わされて、酸素が薄くなってくる。だらしなく口を開けて酸素を求めても、呼吸をするどころか口からは甘い嬌声が漏れてしまうだけなのにどうしても閉じられない。中から押し出されるように小刻みに出る声に彼は満足そうに舌舐めずりをしてわたしを見下ろす。

「イキそうだな」
「あぁっ、あ、んぁ…っ、あ、あ、」
「先イッてもいいけど、」

言葉の先を待つ前にびくんと背中が勝手に反れて膣内が収縮する。どくんどくんと脈打つ中が熱い。呻きに近い声を交えながら荒い呼吸をしていても、彼は尚やめてくれなかった。

「あっ、ぁ゛あ、いまっ、いったのにぃっ、あ!ああぁあ!」
「大丈夫、お前はまだイけるよ」
「むり、むりっ、」
「だーいじょうぶ」

この男はわたしの限界を知っている。知っているからこそその手前まで追い詰めるのが上手いのだ。暴力的な快感にいよいよ啜り泣いてシーツを乱すと彼は興奮を隠そうともせずに眉を歪めて腰を打ち付ける。

「あー…っ、やば、」
「はやく、ぁあっ、あ、はやくぅ…っ!」
「っ…お前、それすげえ可愛い…」

早くイッてもらわないとだめになってしまいそうで、はやく、はやく、と漏らして泣きじゃくると彼の息遣いがどんどん荒くなってきた。わたしはどちらかと言えば他人の観察が苦手で、相手の状態を把握することなんてほぼないけれど、今の彼の状態だけは分かる。わたしを貪り、熱に溶けそうだ。

「あんっ、あ、あぁあ…っ、あ、」

どくん、と中に出されたところまでぎりぎり意識を保つことができた。今日も限界ぎりぎりまで乱され、壊され、愛された。この男のこういうところが大嫌いであり、ほんの少し好きでもある。

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ハイキューまだお勉強中です。
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