(( 無自覚な誘惑 ))




リオンと結婚してから半年が経った。せっかく結婚したなら子供が欲しいなあ、なんて漏らしたら、誘ってんの?って聞かれて赤面したのが懐かしい。リオンはまだ子作りなんて早いって言ってたけどわたしと愛し合うのが好きらしく、避妊具は特に使用してない。頻度としては他の新婚夫婦よりも高い気がするけど、まだ妊娠の気配は全くなかった。

「は、ぁう…っ」

びゅ、びゅう、と中に流し込まれ、大きく息を吐いた。リオンは気持ち良さそうに腰を震わせ、荒い呼吸を繰り返す。汗だくのリオンに見下ろされるとドキドキしてしまうから苦手なのに、リオンはわたしの髪を退けてしっかり顔が見えるようにしてきた。

「今日も、たくさん出たね…」
「っ、あんたそれ無自覚で言ってるならタチ悪いよ」
「え?」
「…何でもない、抜くよ」
「ん」

もう少し中にいてほしかったな、なんて思いながらも頷くと、リオンはゆっくり腰を引いて中から出ていく。奥までいたのにずりずりいなくなっていくのが寂しくてリオンの首に腕を回すと、途中まで抜いたリオンが困ったようにわたしの頭を撫でる。

「どうしたの?痛かった?」
「ううん…」
「じゃあ何?」

ん?とリオンが優しく促す。先程まで激しく愛されていた証拠にもなる涙を指で掬ってくれて、こうやって甘やかされるともっと甘えたくなっちゃうんだよね。

「もう少し、くっついてない?」
「いつも暫くふたりでごろごろしてるじゃん」
「そうじゃなくて、…中に、いてよ」

変な意味で言ったんじゃないけどちょっと顔が熱くなった。もっとリオンとこうしていたい、繋がっていたいって思ってるだけだけど、見上げてみればリオンもわたし同様顔を赤くしている。

「ふうん、そういうこと言っちゃうんだ」
「え…っ?あ?」

一度出して収まっていた熱が振り返すように中で硬度を増していく。何で、なんて言う前に唇に噛みつかれる。何度も何度も犯された口の中に舌を入れられ、また口内を舐め回された。

「っん、う、リオ、っ」
「あんたさあ…」

リオンがぐっと腰を遣って中に熱を押し込める。もうガチガチに硬くなってて一回出したなんて嘘みたい。

「へ、な、なんで、」
「なぁ、何でいつも煽るんだよ」
「えっ…?」
「それでいて無自覚、俺のこと、試してるのかよ…っ」

リオンの腰がゆっくり動く。余韻が引かない内壁はひくひく動いてリオンに絡み付いた。喉が反れるくらい敏感になってるのに。

「や、まって、さっきシたばっか…っ」
「ああそうだよ、だからいつも我慢してるんだよ。あんたはいつまでも引っ付きたがるけど、俺の気持ちなんか分からないだろ」

ぐぢゅ、と厭らしい水音が内部から響く。中のぬめりはさっきの比でなく、リオンの腰はゆっくり動いてるだけなのにまるで促されるように擦られた。びくっと体を捩ってリオンの腕を掴む。

「だっ、だめ、やめ…っ、」
「中にいてほしかったんでしょ?大丈夫、俺はこの中にいるからね」
「ひゃあ、あ、ちがっ、ちがうぅ…っ」
「うんそうだよね、違うよね、あんたはこんなことをしたかったんじゃないよな」

ぐちゅ、ぐちゅ、どんどん早くなっていく。音が大袈裟に響いて中の体液が混ぜられた。リオンの汗が落ちてきて、目が、すごいギラギラしてる。

「分かってるよっ、あんたは俺に甘えたいだけなんだろ、俺だって、あんたに触れていたいよ、っ」
「あっ、あん、ひぅ…っあ、あぁあ」
「でもさあ、あんた人間じゃん、俺に付き合ってたら、いつまでも終わんないんだよ…っ」

ごりごり奥を叩かれて太股が引き攣ってきて、敏感な膣はきゅうきゅう縮まって痙攣した。リオンの唇もきゅっと力が入り、一旦動きが止まる。

「イッたの?」

リオンはどんなに辛くてもわたしがイッてるときは動かない。いつもこうして落ち着くまで動きを止めてくれて、それが長引く原因でもあるんだけど結構助かってる。初めてのときは無遠慮に突かれて死ぬかと思ったし。

「いっ、たぁ…」
「可愛い…その顔、俺だけのものなんだよな。幸せで死にそう…」
「しんじゃ、だめ、ぇ」
「あんたを置いて死なないよ、俺が死ぬときはあんたも一緒」

リオンは微笑んでから額の汗を手の甲で拭い、またわたしの腰を掴む。ゆっくり、たん、たん、と腰の動きを再開させて、思わず足がピンと伸びた。

「あ、あ、あぅ、あっ、だ、め」
「だめって、止まってばっかじゃ終わんないだろ」
「だめっ、だめぇ、いま、すぐいっちゃ、う」
「まだ我慢して…っ、俺もすぐ出すから、まって、」
「あ、ああうっあっああ…っ、」

びくびく、と中が締まる。リオンが深く息を吐いて腰を止めた。シーツを握りしめて何度も何度も荒い呼吸を繰り返す。

「何でここで、イくかなあ…っ」
「ご、ごめ…」
「いいよ、名前が何回もイくことになるだけだからな」

拗ねたように言うリオン。寸止め状態を何回もされたら辛いよね。何だか可哀想になってくる。

「だってリオンが、きもちいいとこ、こするからぁ…っ」
「っ、あんたなぁ、そんなことばっか言ってるとほんとに壊すよ」
「いいよ…?リオンつらいよね、ごめ、わたしイッててもいいから、リオン動いて…?ね?」

言い終わると同時にリオンの腰が動く。太股を持ち上げられて肩に担がれ、奥まで突いてくるリオンに背を反らした。気持ちいい、死んじゃう、殺される。

「やっ、あ!あ!リオンっ、や、ぁっ!」
「は…っ名前、名前っ、好き、くそ、何でそんな可愛いんだよ…っ」
「はぁ、ん、や、はげしっ、」
「なあ…っ、名前も言って、おれのこと、ちゃんと好きって言って…っ」
「ふぁ、あ、すき、すきだよリオンっ」
「あ〜〜…やば、きもちい…っ、」

容赦ない突き上げに体を捩るけど快感は逃げずに膣が痙攣する。リオンはそれに擦り付けるようにゴリゴリ裏筋を押し当てて本当に止まらないまま腰を振った。

「名前のことっ、このまま殺したい、ヤリ殺したいっ」
「や、なにいって、んのぉ…っ」
「はぁっ、可愛い、名前かわいすぎるっ、愛してる、愛してる…っ」

びゅううう、ううう、中でリオンの熱が吐き出されるのを感じた、のに、リオンは腰を止めない。なんで。リオンを見上げてもリオンは気持ち良さそうな顔をして肩に乗ってるわたしの足にキスを落としていた。

「は、はぁ…っ、名前すき、愛してる、可愛いよ、なあ、名前、どうしてそんな可愛いのっ、止まんない…っ」

リオンが興奮してるのが伝わってわたしも涙がぼろぼろ止まらなかった。気持ちよすぎて苦しい、リオンの角が少しずつ飛び出してきてリオンが悪魔になっていく。

「リオっ、リオン、すきっ」
「おれも…、おれもだよ、すき、本当に大好き、ずっとこうしたかった、俺で乱れておかしくなって、もっとおれのことだけしか考えられなくなって…っ」
「ああぁあ…っ、あ、ああん…!」

わたしがイくのと同時にリオンがまた精子を吐き出した。びゅく、びゅく、って数度に分けて奥に出して、本当にこれで孕みそう。リオンは汗だくでわたしに優しく微笑み、髪を掻き上げておでこにキスを落とした。次に頬、鼻、顔中にキスされる。擽ったくてわたしも少し笑うと、可愛い、とまた言葉を漏らした。

「なぁ名前、もう抜いていい?」
「え、?」
「また中になんて言わないでよね、おれ、ほんとにあんたのことヤリ殺しちゃいそう…」
「わ、わかった」

リオンいつも我慢してくれてるんだなあ、なんて思い知る。中からゆっくり自身を出してトロトロ流れる白濁を見つめながら、すっかり出てしまった角と翼を少しずつ隠すリオン。わたしの隣に寝転んでわたしの頭を撫でてきた。

「今日はごめんね」
「何で?」
「乱暴にしちゃったでしょ。ほんと止まんなくなって…うっかり殺すかと思った…」
「う、うっかり殺さないでね」
「大丈夫、もうしないよ」

リオンの笑顔に胸がきゅうってなる。きっと悪魔と人間じゃ体力も性欲も全然違うんだろうな。シてるときのリオンは本能のままに孕ませようとしてるような目をしてて、きっといつももっとシたいと思ってるんだろうけど。

「わたしこそ、いつもごめんね。リオンに我慢ばっかりさせてるね」
「いいよ、あんたが人間だって分かってて俺が惚れたんだ。だから謝らないで」

リオンがわたしを抱き寄せて肩口に顔を埋めた。心地好い温もりと重力。わたしもリオンの背中に手を回す。

「リオン、大好きだよ」
「うん、俺も。名前のこと好きすぎてどうにかなっちゃいそうだよ」
「わたしも」

くすくす笑い合ってまたキスを交わす。その間も頭を撫でてくれたり足を絡めてくれたり、リオンはわたしのことを甘やかす天才だ。暫くするとリオンがわたしから手を離す。

「そろそろお風呂入る?俺お湯溜めてくるよ」
「あ…」

離れた手が寂しい。温もりが離れていくようで落ち着かなくてわたしは思わずリオンの手を掴んだ。

「も、もう、離れちゃうの…?」
「…っ、あんたなぁ、怒るよほんとに…」
「え?」
「無自覚かよ!」

ギリッと歯を食い縛ったリオンは一瞬わたしを睨むように視線を寄越してからガバッと起き上がった。突然のことで目を瞬かせてしまう。

「くそ、俺の気持ちも知らないで…!」

リオンは強くシーツを握っていた。どうやらわたしは、また変なことを言ってしまったらしい。


END
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あのCD第三弾、そろそろご存知でない方にも興味を持っていただけたらな、なんて思っています。名前様、お付き合いありがとうございました。
20161204
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