清光があんなに器用なんて知らなかったわたしは慌てて清光を部屋に呼びつけた。花丸の清光はできたはずだし、うちの清光もきっとできる。わたしはにこにこ笑いながら清光に色とりどりのマニキュアを差し出した。

「清光冬用ネイルやって!」
「はぁ?」

清光が眉を顰める。並べられたマニキュアと筆を暫くじっと見つめてから、清光はため息をひとつ吐いてからコバルトブルーのマニキュアを手に取った。

「で?今回は何の影響?」
「えへへ、花丸の清光ですう」
「また俺?主はほんとあっちの俺が好きだね」
「そ、そんなことないよ!わたしが好きなのは、…えっと、清光だけ、だから…」
「そーね。まったく、そんな真っ赤な顔されたらこれ以上責められないじゃん」

ほら、手貸して、と清光がわたしの手を掴む。大きくて優しくて、わたしの大好きな手。清光の爪先は深紅に染まっていて、初めはこの深い色が血を連想させて苦手だったんだけどどういうわけかいつの間にか清光のイメージカラーで定着している。いつかわたしもこの色を塗ってもらおうかなあ。

「清光、ネイリスト向いてるよね」
「ねいりすと?」
「そう、ネイリスト。いろんなひとの爪を要望通りに塗ってお金をもらうお仕事だよ」
「何それ、やだよ。俺は刀なんだから戦うのが本業でしょ」
「そんな同田貫みたいな…」
「それに、俺が触れたいのは主の手だけなんだから。主は俺が他のひとに触れて可愛くしてあげてていいって思ってるの?」
「そ、それは、」

いやだな。自分で言っておいてだけどもやもやした。この本丸に女の子がいなかったから良かったものの、清光は顔が整っていて、尚且つ優しい。そんな清光にこうして手に触れられて可愛くしてもらったら、わたしだったら絶対に恋しちゃう。

「あーるじ」

清光の声でハッと声を上げると清光は少し困ったように笑って見せた。

「冗談だよ、変なこと言ってごめんね」
「えっ、いやわたしこそ、」
「ううん、試すようなこと言った俺が悪い。ごめん。でも、俺には主だけなんだよ」

清光は反対側の爪先もすらすら塗っていく。手慣れていてすごく早い。塗られた後の手をどこに置こうか悩んで思わずそわそわするけど結局膝の上に大人しく乗せた。乾いたらまた清光が違う色を乗せていく。

「主の手は綺麗だね」
「えっ」
「小さくて可愛い。指もほら、俺より細いでしょ」
「そうかなあ?清光も細いけど…」
「細く見える?いつもナカに咥えるときはあんなにキツそうだけど、これじゃあ物足りないの?」
「なっ…!」

そうやってすぐえっちなことを…。うちの清光は何でこんなにエロエロなのか、誰かに調べていただきたい。気恥ずかしくて清光から視線を逸らすと、清光はくすくす笑って筆を置いた。

「でーきた。ほら主見て、雪をイメージして描いてみたよ」
「う、うん、ありがとう…」
「あれ?もしかしてえっちなこと考えちゃってる?」

清光がわたしの顔を覗き込んできた。ぐっと距離が縮まって顔が更に熱くなってきた。清光から言い出したくせにわたしがえっちなことばっか考えてるみたいな言い方しないでよね。

「っ、ちょっと清光、顔近い…」
「うん、唇くっついちゃいそうだね」
「ち、ちょっと、」
「だめだよ主、乾くまでは手を動かさないでね」
「ん…っ」

清光は角度をつけて唇を重ねると、優しく挟むように食んだ。はむ、はむ、と大好きで気持ちいいキスを繰り返される。これ、舌なんか入れなくても十分気持ちよくて頭がふわふわしてきちゃう。手が使えないから清光を押し返すこともできずにされるがまま唇を愛撫され続ける。

「は、ぁ……きよみつ、」
「手が使えないの、そんなに興奮するんだ?ほんと可愛いなぁ」
「や、まって」
「待たないよ。それに、期待してるんでしょ?」

清光はわたしの首筋へ顔を埋める。

「俺の指が細いかどうかは、終わってからまた聞かせてくれる?」

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清光はどういうわけかエロ清光にしたくなるんですよね。
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