だぱぁ、と滝のように涙が出た主様、メンヘラ清光くんの考えることは大体分かっていたつもりだったのですがいざこうしてアニメにされると耐え難いものがあったようです。ぼろぼろ涙を溢しながらクッションを抱き締めます。

「き、きよ…っ、ぅ、ぎよみづぅ…っ」

嗚咽混じりに清光くんを呼びますが、清光くんは少し前に出陣してしまったので本丸にはいません。おーいおいと泣き喚き、クッションをひとり悲しく濡らしていくのでした。






「ねえ、どういうことなの」

清光くんが帰ってくると一目散に駆け付けて抱きついたのが20分前のこと。それからずっと泣きながら清光くんにしがみついているのです。主様はうっぐえっぐと嗚咽を続け、清光くんから離れようとしません。幸い軽傷で帰ってきたので直ぐに手入れ室に行かなくてはならないわけではありませんが、ずっとこのままだというのも困ったものです。主様に抱き付かれるのは大変嬉しそうですが、その大好きな主様が泣いていることの方が気になります。清光くんは主様の頭を優しく撫でると、仕方ないという風にため息をつきました。

「何かあったわけ…」
「う…っぐ、ぎよ、みづぅ、っ」
「はいはいどーしたの」
「わだ、じ、ぎよみづがだいずぎだがらぁ…っ!」
「!…」

ああ成る程ね、そういうこと。清光くんは主様の頭を撫でながら小さく笑います。ここ最近主様が熱中しているアニメでまた何かやっていたのだなと納得したようですが、清光くんはその内容を知りません。はいはい、と笑いながら主様の頭を撫でて落ち着かせます。

「主は俺のこと大切にしてくれてるよね」
「う、うん…っ、だいじだもん…!」
「ありがと。俺もそれがちゃんと分かってるから嬉しいよ。伝わってないわけじゃない。主が俺を想ってくれてること、ちゃんと知ってるから」

清光くんは主様の頭を撫でながら優しい言葉を掛けました。本当に毎日愛してくれているのが十分伝わってくるので清光くんは主様にたくさん感謝しています。それを伝えるように言葉にすると、主様はまた目を潤ませて清光くんを見上げるのです。

「俺も主のこと大好きだから、分かるよ。俺のこといつも大事に想っててくれてありがとう」
「ぎ、ぎよみづ…っ」
「あはは、すごい顔。分かったからもう泣かないのー」

清光くんは主様を優しく抱き上げ、主様のおでこへキスを落とします。口付けの優しさに主様はすっかり涙を止め、未だぐすぐすと鼻をすするものの、ぴったり泣き止んで清光くんに引っ付きました。

「うん、好き、だいすきだよ清光、世界で一番好き」
「ありがと。俺もだよ。大好き」
「すき、清光が一番だから、本当に大好きだからね」
「うん分かってるよ、ありがとう」

背中を優しくトントンされてやっと落ち着いたのか、主様はゆっくり清光くんを見上げて涙の膜が張ったままの瞳を輝かせました。可愛らしい表情に清光くんの口許も緩みます。

「まっ、当たり前だけど浮気なんか許さないからね。されたら目の前で死ぬから」
「えっ」
「他の刀剣可愛がったら妬けちゃうしね〜、特に三日月、レアなのは分かるけどあんまりデレデレしないでよね」
「ええっ」
「なぁに、不満なの?」
「い、いやぁ…」

ぎくりと肩を上げた主様。清光くんは花丸を見ていないはずなのになんということでしょう、やはりどの本丸の清光くんもこう独占欲が強いのでしょうか。

「き、清光、浮気ではないけど、明日は三日月に隊長を…、」
「まさか俺を外す気?あれだけ好きって言ってたくせに切り替えが早いんだねぇ」
「でっ、でもそろそろ戦に出さないと…」
「ねえ主、明日も俺が近侍でいいんだよね?ね?」
「えっと…」

清光くんがにっこりと微笑んで主様を威圧します。主様はだらだらと嫌な汗をかくことしかできず、はい、と小さな声で返事をしました。
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清光のもやもやした葛藤が見れて人生最高という感じでした。
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