「な、なにこれ…」

主様はふるふる肩を震わせました。同じ刀剣でも個体差があることは知っていましたが、本丸ごとにこんなにも性格が違うなんて想像していなかったのです。こ、これが、清光?嘘でしょ?花丸を見てしまった主様は自分の本丸にいる清光を思い出して声も出ません。と、そこへ噂の清光くんが後ろから引っ付いてきます。

「あーるじ、どうしたのそんな顔して」
「清光…」

ぴとっとほっぺたをくっ付けてくる清光くんはどこからどう見ても加州清光だということに間違いないのですが、花丸のあんなに頼りになる清光くんとは何とも別人で、どことなく妖艶なのです。ん?と小首を傾げてピアスを揺らす様は自分が可愛いことを自覚しているような動作でした。

「ねえ、花丸見た?」
「なんか様子が変だと思ったらあれを見てたんだ、どうかしたの?」
「清光がね、すごくかっこよくて、頼りになって、面倒見のいいお兄さんみたいだった…」

信じられない、という表情の主様に清光くんはにやっと口端を引き上げます。そしてその唇をすっと主様の耳許に近付け、その低い声を響かせるのです。

「俺、かっこいいでしょ?」
「!」

日頃可愛い清光くんにこんな声を出されるものですから、主様はすっかり耳まで赤くなり、ち、ちょっと待って、と清光くんの胸板を押しました。

「ちがう、ちょっと、違うでしょ清光はほら、うちの清光はさあ、もっとこう、」
「なぁに?俺って頼りにならない?」
「い、いや、いつも近侍のお仕事頑張ってくれてるし、出陣のときも仕切ってくれてすごく助かってるけど、そうじゃなくて、」
「そうじゃなくて?」

清光くんは主様の項に手を伸ばし、艶やかな赤に染められたその爪先でツツゥと首筋を撫でます。主様はびくんと大袈裟に体を揺らすと、清光くんは目を細め、主様に熱っぽく視線を送りました。

「俺のかっこいいところ、もっと見たいの?」

清光くんの艶っぽい唇が近付き、主様は抵抗ができないままそれを重ねられてしまいます。しっとり吸い付くようなキスにすっかり動転してしまい、息をするのも忘れてしまいました。唇はすぐに離れましたが、清光くんからの熱っぽい視線は離れません。

「ねえ主、もっと見てみたいの?」
「いや、あ、あの…」
「俺って可愛いだけじゃないんだよ」

あれ、嘘でしょ、わたしこんな清光知らない…。主様は言葉が出ないまま再びその唇を塞がれてしまい、腰を引き寄せられてからはそれらしい抵抗もせずに清光くんに体を委ねました。
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清光がかっこよすぎました…。
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