◯月×日 am06:10
朝早くから鶴丸が大きなシャベルを持って出ていった。こんなに暑いのに働き者だなあ。感心しながら寝返りを打つ。まだ朝ごはんの時間ではないから二度寝しよう。


     ◯月△日 am11:10
今日も朝早くから何処かへ行ってしまった。特に探しに行ったわけではないけど本丸の庭を散歩していたら裏からザク、ザク、と音がする。気になってそちらへ向かうと、鶴丸がせっせと穴を掘っていた。また誰かに仕掛けるつもりなのかと思って注意しようと鶴丸を呼ぶと、彼は一瞬こちらを睨み付けるような視線を向けたけど、すぐに弧を描くように目を細め、それと一緒に口端を引き伸ばす。わざとらしい笑顔だなとは思ったけど敢えて触れなかった。わたしが去った後、暫くしてまたザク、ザク、と音が聞こえ出した。


     ◯月□日 pm16:00
今日もまだ掘り続けている。飽きないのかな。そんなに深く掘ってどうするつもりなんだろうか。悪戯にしては妙に熱心だった。


     ◯月◇日 am02:00
ふわふわ浮いているような浮遊感を感じたけど瞼が重くて目が開けられない。尋常じゃない眠気に抗いながら、わたしは誰かに抱き抱えられているのだと理解した。どうしても瞼は開かなくて、少しでも気を抜くと意識が飛んでしまいそう。自室で眠っていたはずなのにどこへ連れていかれるのだろう。声も出せないまま眉間に皺を寄せると、誰かが優しく笑った気配がする。
「まだ眠っていたらどうだ」
何だかとても聞き覚えのある声だった。それもそうだ、まだ朝にもなっていないから眠ってしまおう、と声に賛同して眠気に逆らうのをやめると、すぅっと意識が遠退いていくのが分かる。揺りかごのようにゆらゆら心地好く揺すられながら、わたしは再び夢の中へ落ちていった。

「ちゃんと埋めてやるからな」
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夢でも小説でもないものです。

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