それから閻魔様は地獄だけではなく、天国にも見回りにくるようになりました。お目当てはもちろん名前ちゃんです。名前ちゃんは天国で毎日本当に幸せそうでした。天国はとても良いところです。閻魔様も安心していました。

「名前ちゃん、こんにちは」
「あ、閻魔様。こんにちは」
「今日も元気?」
「はい。今日ね、あっちのお花畑で四つ葉のクローバー見つけたんです。見て見て」
「あー、ほんとだ。幸せになれるね」
「はい、でも私、もう十分幸せですよ。だから、ね」

名前ちゃんはふわりと笑顔を見せました。最初の頃は話すのもままならないくらいに閻魔様に緊張していましたが、今ではすっかりお友達です。名前ちゃんは閻魔様の手の平の上にそっとクローバーを置きました。

「閻魔様にあげます。閻魔様にも、幸せがきますように」
「おれ、に?」
「はい。…なんて、調子に乗ってすみません。捨ててもらって結構です」
「っ、嬉しいよ、俺すごく嬉しい!幸せきたらいいな」

顔を曇らせた名前ちゃんに閻魔様は慌てて言葉を重ねました。それを聞いて名前ちゃんはふにゃりとまた顔を綻ばせます。

「閻魔様にもきっと、幸せはきますよ」
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