ここは冥界。閻魔様は今日も忙しくお仕事をしていらっしゃいました。

「きみ天国ー、きみ地獄ー、きみはー…おぉ、いいセーラー、」
「大王?」
「っ、はい、天国です天国!」

秘書に長い爪をちらつかされながらですが、それでも閻魔様は働き者です。




(( ぷんぷくり〜ん☆ ))




そんな閻魔様の癒しは天国にいる名前ちゃんとのお喋りでした。本当は天国にはあまり行ってはいけないので、こっそり会いに行くのです。

「名前ちゃーん!」
「…はぁ、また来た」

名前ちゃんは判決室で何故か仲良くなってしまった女の子。死者は閻魔様を怖がるのに名前ちゃんだけは鬼男くんと一緒になって辛辣に当たりました。それが閻魔様には何より嬉しく、懐いてしまったようです。

「ねぇねぇ名前ちゃん、今日すごく面白いことあったんだよ!」
「へーそうなんだ。鬼男くーん!」
「あっやめて大声出さないで!」
「うぷぷぷほんとだ面白い顔〜」
「やな笑い方!別に面白いことって顔の話じゃないよ!」

閻魔様は名前ちゃんに振り回されっぱなしです。鬼男くんと話していると自分はボケなのに、名前ちゃんと話しているとツッコミになってしまいます。慣れないことに疲れてしまうこともありますが、名前ちゃんのことが大好きなので我慢です。

「ねぇ名前ちゃん、俺すごく疲れてるんだ、ちょっと労ってよ」
「あーお腹空いたー」
「ちょっと聞いてるのそれ!?」
「まだいたのあんた、早く帰りなよ」
「うわぁひどい!閻魔怒っちゃうぞ!閻魔怒ったらこわいんだぞ!」
「………」
「何その顔!もう怒った!閻魔怒った!ぷんぷくり〜ん☆」
「…こわい…」
「いやこわくないよね!?今のは可愛いよね!?」

ほっぺを膨らませて決めポーズ。可愛く決まったはずなのに名前ちゃんはぞくぞくと鳥肌を立てました。どこまでも辛辣な女の子です。

「あんたいい歳して私みたいなのに説教されて恥ずかしくないの?大人しく帰って仕事しなよ?」
「わ、分かってるよぉ……でも一目名前ちゃんを見たくて……」
「おっさんにそんなこと言われてもときめかない」
「分かってるもん!うわぁぁん名前ちゃん意地悪ぅ」

泣いた真似をしてみますが閻魔様は涙が出ません。完全に嘘泣きです。名前ちゃんはめんどくさそうに眉を引き攣らせました。

「あんまり鬼男くんを怒らせないであげて」
「あー!?まさか名前ちゃん鬼男くんのこと好きなの!?」
「あんたより断然イケメンでしょうね」
「ひぎいい裏切られた!逃亡する!」
「………」
「てゆーかフォーエバー!…あれ、引き止めてよ!?」
「疲れた…」

名前ちゃんのため息を聞いて閻魔様は肩を落としました。俺を怖がらないのは嬉しいことだけどひどすぎる、と。閻魔様は怒りました。こうなったら最終手段です。

「名前ちゃんは俺のどこが好き?」
「何で好き前提なのよ」
「じゃあ、どこが嫌い?」

ふわ、と帽子の後ろで結ばれたリボンが揺れました。閻魔様が可愛らしく小首を傾げているのです。名前ちゃんはぐっと言葉を詰まらせます。

「き、らい、なんて…」
「じゃあ好きなんだ?」
「…、そういうところが嫌い」
「どんなとこ?名前ちゃんのこと分かってるところ?図星つかれるから苦手なの?」
「ちがっ」
「名前ちゃんは俺のこと、好きだよ」
「ち、」

名前ちゃんは顔を真っ赤にさせます。読心術は使えますが、閻魔様は使っていません。使わなくても名前ちゃんは分かりやすいのでだいたい分かってしまいます。

「名前ちゃん、顔真っ赤」
「…うっさい」
「かーわいいなぁ。俺のこと大好きすぎて困ってる顔も可愛い」
「誰が…っ変態!」

閻魔様はにこにこと何だか楽しそうです。名前ちゃんは顔を真っ赤にさせながらフーフーと威嚇しますが全く無意味。閻魔様は名前ちゃんの目線に合わせて腰を屈ませました。

「でも、」
「っ」

閻魔様は名前ちゃんの唇にとんと人差し指を置きました。名前ちゃんはびくっと肩を跳ねさせます。

「名前ちゃんの口から聞きたいなぁ…?」

閻魔様の大の得意の手練手管にまんまとハマり、名前ちゃんは恥ずかしそうに視線を逸らしました。

「別に、嫌いじゃないって…」
「嫌いじゃないってことは?」
「だから…その、…好きよ」

カァァッと赤面の名前ちゃんを眺め、閻魔様はにんまりと口元を緩めます。それから名前に向けて両腕を広げ、幸せそうに言いました。

「よく言えました。ほらおいでー」
「…むかつく」

名前ちゃんは憎まれ口を叩きながらも大人しく閻魔様に体を寄せます。ぎゅうと抱き締められる感覚が心地好く、思わずうっとりしてしまいました。閻魔様の体は冷たいのですが、心は満たされたようにぽかぽかしています。

「こんなこと言うつもりなかったのに」
「えへへ、名前ちゃん可愛い。大好き」
「言うなばか。あー、こんなイカを好きなんて……恥だ」
「イカ…恥…」

それでも閻魔様は幸せです。名前ちゃんの頭を撫でながらまたふわりと笑いました。

「名前ちゃん、ちゅーしよ?」
「鬼男くーん!!!」
「あっやめて鬼男くんだけはやめて!」

天国は今日もとっても平和でした。


END
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タイトル通り、ぷんぷくり〜ん☆を書きたかっただけのお話です。某笑顔動画でsm14285610(元ネタはこちらの投稿文に載っています)の動画を、私の大好きな絵師さまのきんもぐらさまが閻魔で作ってくださいました(sm18832919)。閻魔の可愛さのあまりあらぶって勢いで書いた小説がこちらになります。本当にごめんなさい。きんもぐらさまには許可をとってありますが、きんもぐらさまや本家さまの動画を見る際に「いちごおーれから」というコメントは絶対にやめてください。閻魔好きすぎてつらいです。名前様、お付き合いありがとうございました。
20120919
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