「おう、おはよう閻魔!」
「ん、おはよー」
「閻魔先輩おはようございます!」
「はいおはよー」

学校へ行くと皆の記憶捏造は成功したみたいで、俺は学校で人気者設定になってた。まあ、俺が失敗することなんかないけど。それにしても挨拶って気持ちいい。朝からなんか幸せな気分。冥界では怖がられてばっかだから、こうやって慕われるのも悪くないなー。所詮捏造なんだけど。

「あ」

思わず口から声が漏れた。俺の愛しの名前ちゃんが玄関にいる。うわ、本物まじ可愛い。俺は名前ちゃんの横をスッと通りすぎた。

「あっ閻魔先輩だ!朝からラッキー!」
「えんま?」
「えーっ、何名前知らないの!?超かっこいいじゃん!」

すると名前ちゃんと一緒にいた女の子がすぐに名前ちゃんに俺の情報を植え付けた。しめしめ。名前ちゃんの記憶を捏造してもいいんだけど、せっかく下界まできたなら純粋に恋愛楽しみたいしね。名前ちゃんにはなるべく魔法とか使いたくない。魔法なんて可愛いもんじゃないけど。

「変な名前…」

俺がいろいろ考えてたら、名前ちゃんはぼそりとそう呟いた。うわあ傷つく。まあ、閻魔なんてなかなかいないだろうけどさ。ちなみに俺と名前ちゃんの距離はかなりあるから普通なら聞こえない距離。俺はわざわざ“聴いてる”から聞こえるだけで。名前ちゃんも悪気はないんだよね。可愛い。

決めた。
今日の放課後…、いや、明日の放課後、名前ちゃんとお喋りしよう!

今日話したいのは山々だけど、その前にすることがたくさんある。あと予想以上に名前ちゃんが可愛くて心の準備ができてない。あー、可愛い。早く話したい。俺のこと知ってほしい。早く用事済んで明日の放課後になればいいのに。あ、用事ってもちろん、名前ちゃんに好意を抱いてる奴の排除、ね?
(  )
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -