それからザンザスは丸々3時間すごく気持ち良さそうに熟睡した。2時間経った時点で起こそうかと思ったんだけどザンザスがあまりにも気持ち良さそうに眠るもんだから、起きるまで待ってあげてもいいかな、なんて思っちゃったの。ザンザスほんとに可愛い寝顔。胸がきゅうんってする。誰にも見せてほしくないなぁ。ザンザスどこでも寝るんだけど。
ザンザスは起きたらすごく不機嫌そうだった。あんなに可愛い顔して寝てたのに。

「ザンザス、起きた?」
「………」

無視された。これはまだ起きてない証拠。ちょっと苦笑いして少しだけ待ってあげる。のろのろ動かすザンザスの手は目を擦り、それから私を見上げた。

「………」
「起きた?」
「…あぁ」

あの可愛い顔はどこへやら。眉間に深い皺ができてる。

「すごく気持ち良さそうに寝てたね、何の夢見てたの?」

ザンザスは欠伸してから目をしぱしぱ。ちょっと経ってから考えるように。

「…何も見てねぇ」
「ふーん…」

笑ってしまいそうになるのを必死に堪えた。ザンザスまだ全然起きてない。反応が遅いところがちょっと可愛い。でも寝る前に私と約束しちゃったから眠たそうに起き上がってデスクへ行く。別にすぐ仕事しなきゃだめなんて言わないのに。

「…そういや」
「え?」

ザンザスから話してくるなんて珍しい。ちょっとドキドキする、何の話だろう。

「昨日夢見てたのか」
「え、」
「寝言言ってやがった」

眠そうなのに細く目を開けて書類を読み出す。いつもより瞬きが多いなぁ。

「い、言ってた?」
「あぁ」
「うそっ」

何の夢見てたっけ、ってちょっと考える。すぐ思い出した。昨日はすごくすごく幸せな夢見たんだった。ボフンと顔が赤くなる私にザンザスはチラッと視線を投げて、また書類に視線を戻す。

「何の夢だ」
「え、あ、…別にたいしたものじゃ、」
「あ?」

言えねぇのか、と目が言ってる。だってこんな私の願望みたいなの話すの、恥ずかしいじゃん。ザンザスを見たら書類を置いて私の言葉をじっと待ってた。ああもう、ますます恥ずかしい。

「昨日の夢は、その、…ザンザスと結婚する、ってやつでして…」

もじもじとザンザスをもう1度見たらザンザスはちょっと驚いた顔してた。ですよね。私もテンパって敬語だし。

「てめぇ、本当だろうな」
「ほ、ほんとだよ!」
「…じゃあ昨日のは何だったんだ」

ぼそっと言われた。昨日のって何、そんな変な寝言言ってたの?気になる。

「私何て言ってた?」
「いや、有り得ねぇ話だが、俺が相手ならいい」
「え?何が?」
「るせぇ、いいっつってんだろ」

ちょっとザンザスが不満そう。有り得ないって、何してたのよ私。ザンザスと何した夢?結婚式して、皆とご飯食べて、あー、その後の記憶ない。どんな夢見てたんだろう。

「…おい」

暫く沈黙が続いたあと、ザンザスが口を開く。なんか嫌そうな顔してるなぁ。

「もしスるんだとしてもな、俺ができるのは騎乗位までだ、いいな」
「…へ、」
「てめぇの趣味は知らねぇが、俺が許さねぇ」
「……え、え、」

ええええええええええ!?
私何言ったんだろう、恥ずかしい!えっちなこと言ってたのかな、どうしよう!自分の好みのプレイ言ってたとか?騎乗位って何、私もっと過激なこと言ってたの?あ、それとも、シックスナインってやつをつい最近ベルに教えてもらったからってそれを口走ったとか?終わった。

「ザ、ザンザス、私シックスナインとかシたいなんて思ってないよ!」
「…シックスナイン…」

ぶはっと吹き出すザンザスを見て、しまったと思った。絶対違う!私が言ったのは違うことだ!恥ずかしい!

「ザ、ザンザス、あ、あう、私…っ」
「何だその顔」

ザンザスは立ち上がって私のもとへくる。恥ずかしくてちろちろ視線泳がせてる私をククッと喉で笑い、ザンザスは優しく私の頭を撫でた。

「シックスナインならシてやってもいい」
「ちがっ、フォロー下手くそ!ばか!」
「あとは何が好きなんだ」
「あ、えと、あ…」

カァァッと顔が熱い。ザンザス意地悪だ。私の言ったことは教えてくれないくせにこうやって聞き出して。

「私なんて言ったの…」
「当ててみろ」
「う…えと、淫語が好きとか、言った?」
「そうなのか」

またぶはっと笑うザンザスを睨みつけることしかできない。ザンザスの意地悪!鬼!私の性癖ばっかバレてく!もうやめて!助けて!


(( 昨日の夢で、 ))
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