ご飯を食べたザンザスは何だか機嫌がいい。分かりやすいなぁ、子供みたい。
部屋に戻ったらザンザスはデスクをチラッと見た。新しい報告書が置いてあって小さく舌打ちしてる。そんなザンザスを苦く笑ってその中からスクの報告書を1枚拝借。そのまま私はベッドに腰かけて報告書を読んだ。スクのはレヴィまではいかないけど筆圧強い。でも綺麗な書き方をするんだよね、分かりやすくて簡潔っていうか。私も見習いたい。そんなこと思ってたらザンザスがこっちへ来た。

「…こら」

そのまま寝転びそうなザンザスの背中を軽く足でトンと蹴った。でも効果はなし。

「何だ」

ごろんと寝転んだザンザス。私の方を見るわけでもなく反対方向を向いてごろり。その背中を爪先でつんつんした。

「食べてすぐ寝たら体に悪いでしょ」
「るせぇ」

つんつんしてるのにそのことにはノータッチ。もう、神経通ってないわけ?それとも無視してるの?つんつんしながらスクの報告書に視線を戻した。スクの字って雑なのに綺麗なんだよね、何でなんだろう。

「仕事しなよ、ボスさん」
「るせぇ」
「部下はこんなに頑張ってるのになー」
「るせぇ」
「ねぇザンザス、私も任務行きたい」
「てめぇは一生俺から離れさせねえ」
「じゃあ仕事しなさい」
「…チッ」

めんどくさそうにやっとこっちに視線を投げてきた。すぐサボりたがって、ほんと子供。仕事押し付けられる部下(主にスク)の身にもなりなさいって。言い訳を探すように紅い目がちろちろ動く。言い訳はいいから早く起きろっての。げしっと背中を強く蹴ったらムッとしたザンザスが私の足首を掴んで引っ張った。引きずられるままいたらあっという間にザンザスの腕の中。ぎゅうううって苦しくされる。

「…ザンザス、」
「あ?」
「こんなことじゃごまかせないからね」
「…………」

仕事しなさいと目で訴える。ザンザスはじっと私を見つめてから舌打ちをした。

「あと少ししたら起きる」
「少しってどのくらい?」
「…2時間」

2時間!?意外な数字。もっと長いかと思ってたし実際いつもはもっと長いから感心した。

「まぁ、ならいいけどさ、でも食べたばっかで寝転ぶのは良くないから」
「るせぇ」
「あー、もう!」

ザンザスの腕の中から逃れて起き上がる。わがままなザンザスの頭を掴んで、私は自分の膝の上にザンザスの頭を乗せた。

「頭、ちょっとは上げなさい」
「…カス」

まんざらでもないらしい、ザンザスがカスって言うときはたいてい照れ隠しだから。ザンザスは私の膝の上で小さく目を瞑った。ていうか、キングサイズの特注ベッドだからって、このベッド何でもありなの?だからザンザスが付け上がるって分からないの?チラッとそんな風に考えたけど、膝枕でちょっとご機嫌になっているザンザスを見て、まあいいか、なんて思ってしまった。


(( 背中を足で、ツン。 ))
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