さすがに喉が渇いたから、しばらくしたらザンザスに言った。そしたらザンザスも喉渇いてたみたいでちょっと考えてからすぐ離してくれた。私は待っててね、と告げてミネラルウォーターを取りに行く。ザンザスは料理しないからキッチンなんか要らないだろうに部屋にはわりと大きめのそれがあって、でもお腹を空かせると不機嫌になるから冷蔵庫の中は常に充実している。その中からミネラルウォーターのボトルを2本出してからザンザスの元へと戻った。
「…ザンザス?」
そこらへんに座ってたザンザスはもうベッドへ移動して寝転んでいた。やっぱり眠かったのかな。起こしちゃってごめんね。悪いとは思ってるし喉渇いたし、でもムラムラ沸くこの感情。あ、ザンザス腹チラしてる。触れたい。
「えいっ」
「ぐっ…、」
私も思わずベッドへダイブ。ザンザスのお腹に自分の頭を乗せるような形で思いっ切りのしかかった。ごめんザンザス、でもザンザス見てるとちょっかい出したいやら絡みたくなるやらムラムラするんだ。ザンザスのお腹にぴたっと冷えたミネラルウォーターを置いた。
「っ、」
「あはは、びっくりした?」
「ドカスが」
「ふふ、ごめんって」
やっぱり可愛い。ザンザスって拗ねた顔が可愛いんだよね。部下に苛々してるときの顔じゃなくて、私に怒ってる顔。怒鳴りたいのに怒鳴れなくて、しかも何だかんだ許しちゃう、そんな感じ。ザンザス、私にはすごーく優しいから。
「退け」
「やー」
ザンザスのお腹の上に上半身を乗せる。ますます重くなった体の上に、ザンザスは小さく舌打ちをした。
ザンザスは言葉数が少ない上に口から出すものは“カス”とか“るせぇ”とかだったり、舌打ちだったり。でも知ってる、ほんとはそんなに怒ってないし、照れ隠しだって。そりゃあ出会いたてはなんて失礼な人だってずっと思ってたけど、今はその一言一言が可愛く思える。だってたった今だって舌打ちしたくせに自分のお腹の上にある私の頭をなでなでしてるもん。
「ふふー」
「…何笑ってやがる」
「いや、幸せだと思って」
にこにこ笑顔をこぼせばザンザスはふんと鼻を鳴らした。照れてる照れてる。可愛いなぁ、このおじさん。
(( 寝ころぶ上に体を乗せて ))
(
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