ドライヤーをかけおわると待ってましたとばかりにザンザスに手を引かれ、抱き寄せられる。ドライヤーかけおわった体勢ですぐ引っ張られるもんだから、赤ちゃんがハイハイするような格好。ちょっと待って、ドライヤー置いてくる、なんて言葉も無視。ぎゅう、と腕の中に閉じ込められる感覚。あぁ、もう。

「ザンザス、ちょっと待って」
「………」
「ザン、」
「るせぇ」

ちょっと顔を離したザンザスは不機嫌そうにじろってこっちを睨んできた。別にやめろって言ってるわけじゃないのに。

「ちょっと待ってってば、この体勢苦しい。私もちゃんとぎゅーしたい、から」
「…チッ」

一旦離された体。私はザンザスの足の間に座った。まだ自分から抱き着いてないのにまたそのまま抱き寄せられる。

「ザンザス、暑くないの?」
「あちぃ」
「ふふ、じゃあ何でこんなくっつくの」
「るせぇ」

短い言葉だがちゃんと返ってくる。最初の出会いたての頃はこういったやり取りですらなかなかできなかったなぁ、って懐かしく思う。何でもかんでも無視するボスに腹を立てたことももうかなり前の話。
シャワーを浴びた後でお互い体温が上がっているのに、甘えん坊モードのザンザスが離してくれるはずもなく。喉渇いたなー、とぼんやり思いながら、私はザンザスのシャツをきゅ、と掴んだ。


(( 抱き寄せる ))
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